たとえば、鎌倉・室町の制度の研究者である佐藤進一氏は「増訂・鎌倉幕府守護制度の研究」で六十六国二島の守護職の沿革を各国別に考証されている。ただし、飛騨一国については、
 「飛騨」
 という章が設けられていながら、白い1ページにただ4個の活字が印刷されているにすぎない。

 所見なし。

 この四文字が、飛騨を雄弁に物語っているとも言える。

飛騨訪問 ’04.11

 上は司馬遼太郎さんの「街道をゆく・飛騨紀行」に記されている記述ですが、永年、この一節が脳裏に強烈に刻み込まれていました。
 勿論、空白であることをマイナスとして捉えているわけではなく、そういう孤絶を魅力とし、そこから沈殿・熟成された文化が却って今新鮮なのではあるまいかと司馬さんは語っているのですが。私には何か飛騨地方というのが未知のファンタジーゾーンのように感じられていたのでした。

 着ぐるみを始める前は旅行(その延長として登山も)が好きで各所を訊ね廻っていましたが、着ぐるみを始めてからはそれがパッタリ途絶えていました。時間があれば製作に、オフに、イベントへ遊びにと着ぐるみ三昧していましたので、とても旅行まで余裕がありません(汗)
 でも、その間も各所訪ね歩きたいところがポツリポツリと出てきては、うずうずしていたりして。
 そうして思い返すと、着ぐるみで知り合った人達が実に日本全国津々浦々にいらっしゃるではないかと気が付きました。その人達を訪問してついでに観光案内してもらおう!これは、一石二鳥だぞ、ムフフ・・・(笑)

 と、いうことで今回飛騨地方在住の笹原さんに飛騨高山界隈を案内してもらいながら、笹原さん宅に遊びに行ってきたのでした。
 飛騨と言えば、やはり小京都と呼ばれる飛騨高山を見なければ。高山駅前で笹原さんと待ち合わせて合流。
 事前に地図を見ていたところ、高山駅から三之町へは大分歩かなければいけないかなと思っていたのですが、
 笹原さん 「いえ、ここからすぐです。話しながらぶらぶら歩いていくと、あ、もう着いたのか、というくらい近いです」
 とのことで、2人三之町へぽっくりぽっくり歩き始めました。

 TAKA  「今日はよろしくお願いします。高山に来たのはダイナランドのとき以来でした。
       もっとも、あのときはダイナランドへの往復で通過しただけなんですが」
 笹原さん 「懐かしいですねー、もう何年前でしょう?」

       駅前から2人で裏道、商店街を通り抜けながら小路をのぞき込む私。
 TAKA   「こうやって、自動車で進みながら、交差する道を覗き込んでいました。
        小京都と言われる街並みが見えないかなぁと」(笑)
       橋を渡ると川沿いに幾つかの屋台が見えてきました。
 笹原さん 「もう方付け始めてますが、あそこが高山の朝市です。ちょっと見ていきますか?」
       誘われるまま、ちょっと寄り道して川沿いの店を覗き込む私。
       笹原さんが買ってくれた櫛団子をほおばりながら見ていると、
       ペンダントとかブローチを並べる屋台が。
       着ぐるんだときのちょっとしたアクセサリーが欲しいなぁと見ていると
       寄せ木細工のかわいいブローチが。ぐぐっと魅せられる私。
 TAKA   「これ、アスカを着たときに付けさせたいなぁ・・・・」
       と、思いつつ値札を見ると・・・・ゼロが一個多くないかぁ?(汗)
 TAKA   「うん、子供にゼータクさせちゃいけない」
       と、アスカには我慢して貰うことに。

 笹原さん 「どうです、朝市を見て廻るメイアさんのロケをやったら楽しいんじゃないかと」
       思わぬ申し出に、私、ビビビっ(汗)
 TAKA  「で、でも人通りの多い観光地でアニキャラが闊歩してるのはちょっと・・・」
       ロケはTPOをよくよく考えて、というのが持論ですけど、こんな美味しい申し出をされると
       気持ちがぐらぐら揺れてしまう弱い私。
 笹原さん 「朝、人の少ない時間にもう一人くらいサポートいれば十分出来ますよ」
       以後、三之町到着まで笹原さんの言葉が脳裏から離れなくなってしまったTAKAなのでした。


 TAKA  「はぁ、ここが小京都と呼ばれるゆえんの三之町ですか」
 
 永年ここへ来たいと思いを募らせていた場所に立って感慨ひとしお。確かにきれい、優美ですね。遠くに人力車走ってる。でも・・・

 ちょっとすると、通りは人・人・人・・・・もともと狭い通りですし、かつ、こういったきれいな街並みの区間は限られているので、
少し時間が経つとあっというまに人通りで混雑。

 TAKA  「まるで原宿歩いてるみたい・・・」
       秋や雪景色のオフシーズンを狙って行ってこの状況では、シーズン中はどんなだろう。
 笹原さん 「観光客向けに商売してる家はともかく、一般家庭の家は毎週末やかましくて大変でしょうね・・・」
       至極もっとも(^^;)

 ちなみに、この日春慶塗のコーヒーカップってないかなと探したけど、残念ながら「コレっ」というものは見つけられませんでした。
 春慶塗のお盆はやたら目に付くのだけど、他の工芸品に春慶塗をほどこしたものってあまりないようですね。私が見た範囲だけでのことかもしれないですが、職人さんは結構保守的なんでしょうか。

 コーヒーカップを諦め、店先で名物牛串焼きに食らいつくTAKA。
 ミーハーだなぁ・・・(^^;)

 この後、笹原さんの案内で更に高山市郷土館と高山陣屋もめぐり感心することしきり。冒頭の「所見無し」どころか文化的にも歴史的にも実に色々なことがあって「へー」「ほー」「ふうーん」でした。

 高山陣屋の正面写真。
 日本で現存している唯一の代官所だとか。歴史とか建築の好きな方には、結構中は見応えありますよ。
 ガイドさんが一緒に敷地内を歩いてくれて無料説明しいます。

 郷土館には縄文時代の鏃とかも展示されていましたが、
 笹原さん 「ああ、子供の頃こんなのいくらでも拾えましたから、さして珍しいとも思ってませんでしたね」
 TAKA、思わず目がテン。ううむ、飛騨地方凄い。
 他にも飾られていた円空仏はなにやら棟方志功の世界に通じるような不思議なダイナミズムがありましたし、紅春慶の調度品の宝石のような輝きに見とれました。陣屋に展示されていた善九朗の遺言状などは今日始めて知った史実だけにじんと来るものがありました。
 約半日ばかりの高山散策でしたので、他にも見ることが出来なかったものが多いでしょうね。それと飛騨古川の町もちょっと見てきたのですが、こちらもなかなか良いではないですか。うーん、日を改めてまた行ってみたい。
 
 さて、この後は笹原さん宅へ移動し、メイアのご登場となるのでした。

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