着ぐるみ野外ロケの気配り
着ぐるみをまず着ると、次にやりたくなるのが外に出ること。コスプレイベントに参加したくなりますよね。それと一緒に是非野外でロケ撮影したい、となるのは人情。 でも、ちょっと待ってください。 確かにいろんな着ぐるみサイトで野外で撮影した楽しそうな写真がいっぱい出ていますけど、写真に出ていないところの苦労・注意がいろいろあるんです。以前は、着ぐるみする人も限られていたので、一緒にロケをしているうちに、そういった「ノウハウ」が伝授されていったものですけど、今はそういう機会もないままに撮影に走って、トラブったりしていることも時折聞きます。 私もそんなにロケ経験があるわけではないですけど、それでもこちらを読んで何かの参考にしていただければ幸いです。 ただ、その場その場によって状況は変わるものですから、ここに書いてあることを守れば万事OKということではありません。出来れば経験豊富な人と一緒に行っていただくのがベストであることは言うまでもありません。 1.自動車の手配 ロケ撮影で、ほぼ必需品と言えるでしょう。 公園とかで撮影する場合、そのトイレで着替えるというのもあるかと思いますが、自動車があった方が便利ですね。 必要機材の運搬、着替え等に使えますし、複数箇所での撮影の移動でも圧倒的に有利ですから。 自動車は車内で着替えやすいように大きい方がいいですね。 2.人数構成 少ない方がよいですが、私は3人がベストと思っています。 私は2回、1人でロケしたこともありますが、かなーり危険ですね。 全く人の来ないところでの撮影ではありましたが、若気の至りでした(^^;) 人数は多くても6〜7人までに留めた方がよいです。 それ以上は2グループに別れて初めから別行動と割り切るべきです。 (理由) ・人数が増えると、意志疎通が計りにくくなる。撮影時は迅速な行動が必要なので、 意志決定に時間がかかるのは良くない。 ・自動車は大型のワゴンでもない限り、1台に4〜5人しか乗れません。 3人なら1台で済むところも、4人、5人となると荷物を考えて2台で移動(1台はもっぱら荷物輸送)となってしまうでしょうか。 スムーズな自動車での移動を考えると3台も4台も連ねて移動するのはムリがあります。 次に役回りですが、着ぐるみをする人と、それをサポートする人が必要です。 サポートは単に撮影するだけではありません。着ぐるみは視界が悪いので、移動の時のヘルプをしたり、また着ぐるみに害をなす人々(稀にイタズラな子供が小物を取っていったり、意味もなくぽかりと着ぐるみ叩いたりしてくる人もいたりします)から着ぐるみを守る必要があります。 着ぐるみは人前で、面を外すわけにも、声を出すわけにもいきませんので、サポートは着ぐるみのしたいことを察して上げて細々助けに廻らなければ行けません。言ってみればロケのときは着ぐるみ=王様(女王様?)で、サポーター=忠実な下僕、もしくはポチ、でなければなりません(^^) ただし、それはそのときの撮影でのこと。 毎回毎回、女王様ばかり志願してると廻りから嫌われちゃいますよ。 世の中万事、ギブ・アンド・テイクです。この前は撮影して貰ったから、今度は自分がサポーターをやるよ! と気配りすれば人間関係円滑に進み、周囲の好感度もぐっと上がるというものです。 と、言うわけで、人数構成なんですが、 着ぐるみの人数<サポート人数 これが原則です。経験豊富なサポーターなら大勢の着ぐるみを賄えることもできます。また、幸運な状況なら着ぐるみ数体に対してサポート1人でこなすこともできます。でも、万一を考えると、サポートは多いに越したことはありません。 先に3人がベスト、と言ったのは着ぐるみ1人、サポーター1人、それにサポーターのバックアップの計3人と考えています。 例えば、撮影している間に自動車から遠く離れてしまった場合、着ぐるみを元の場所まで移動させるのは結構な負担になります。そんなとき、サポーター1人が着ぐるみと一緒に残り、バックアップが自動車を取りに戻る、なんてことをやると効率的にロケしてまわれます。 5〜6人構成の時も、着ぐるみは2人までが望ましいです(あるいは交代で2人づつとかにして、一度に登場する着ぐるみをサポーターの数よりうわまらないようにする)。 自動車内で着替えるにしても、後部座席でないと着替えにくいですから(脱いだ諸々、着る諸々で座席2スペース以上確実に取ります)、2台で移動していたとして、各1台づつの後部座席で着替えることになります。 仮に着ぐるみが3〜4体になると、2体は他の2体が着替えるまで外で待つことになりますよね?時間に余裕があればいいですが、着替えは結構時間かかります。また急な自動車の移動が必要になったとき、サポーター1人ではそうすることもままなりません。 サポーターが着ぐるみより多くなるよう配慮してください。 3.計画の事前検討 初めて外で撮影する着ぐるみは、もう外で撮って貰いたい一心で、行き当たりばったりでも、とにかく写真さえ撮って貰えばそれだけで結構よかったりします。 けど、2度目以降くらいからは様子も分かったでしょうから、計画を最初に立てて、自分の撮って貰いたい写真をちゃんと撮って貰った方がいいですよね。 ときおり見かけるんですけど、撮影して貰いたいって熱望する割に、撮影場所もポーズも決められず、「なんでもいいから適当に撮って」と万事サポーター任せにしちゃう人がいます。それじゃサポートする側もゲンナリしちゃいますよね・・・・。 事前にサポーターと、どんな写真を撮って貰いたいかよく協議してください。事前に現地下見に行って、どこでどう撮影するか相談しておきたいトコです。現場に行ってから相談するようだと時間の無駄ですし、「しゃべる着ぐるみ」をあまり人前にさらしたくないですよね? ばぁさん(旧姓ばっど2さん)の事前検討は凄いです。下見は勿論、絵コンテまで用意するんですから!(^^) 毎度ここまでしなくても良いかも知れませんけど、事前の検討は十分に行ってください。 4.現地事前下見 なかなか、ここまで時間を贅沢にはとれないかも知れませんが、出来るだけ事前下見を行ってください。 気をつけなければ行けないのは、 ・自動車車内で着替えると言っても、覗き込まれたりしないよう、人通りの少ない「着替え駐車場所」を決めておくこと。 ・着ぐるみは移動が大変なので、移動時間を含めたロケ時間がどれくらいかかりそうか把握しておくこと。 ・監視カメラが置いていないか。置いてあるような所はほぼ間違いなく事前承諾が必要なトコなので、 ロケ中止するか、承諾をとりつけること。 ・階段・ステップ、坂が多くないか。また、男性サポーターだと忘れがちですけど、ヒールを履いたキャラは 舗装されていないところは歩くのが大変ですので、注意してください。 ・人が多くないか。着ぐるみの移動が大変ですし、また、人が多いと予想だにしないハプニングも置きかねません。 公園などでロケする場合、おおむね好意的(あるいは無視)に撮影を見てくれてる場合が多いですが、中には どんな偏屈な人が現れ、苦情を言い立てられないとも限りません。 人の少なそうな時間帯を見計らって、偶発的なトラブルの起きる可能性を少しでも少なくしてください。 なにせ移動の大変な「着ぐるみ」を連れて廻るのですから、一旦事が起こると大変です。 ・公園などの公共の場でも撮影時は事前承諾が必要なところもあります。 まして、法人(お寺)、ビル敷地内(私有地)は注意しましょう。 最悪不法侵入罪でしょっぴかれます。 あと、交通量の多い往来での撮影はやめる等、冷静に一般常識的をわきまえてください。 自動車がバンバン走り回ってるところで着ぐる轢死体にならないでくださいね。 なったら史上初ということで歴史に名が残るかもしれませんが(^^;) 5.着ぐるロケは時間が足りない 普通のスナップ写真撮影と違って、着ぐるロケは次の理由で時間がかかります。 1)着ぐるみの着替え時間が必要 2)着ぐるみはどうしても移動に時間がかかる 3)着ぐるみとは意志疎通に時間がかかる 1)は個人差にもよりますけど、自動車のような狭いところで着るのに20分前後、脱ぐときでも10分以上はかかります。 なんといっても、全身タイツの着脱が大変ですね。一度着てる者を全部脱いで、足先から頭のてっぺんまで着ないといけませんし、男性が女性キャラ演じる場合は胸やお尻にアンコ入れたり、ウエストニッパー装着したりもしてますから、狭い車内では動きにくさも相まって大変です。 家であらかじめ着ぐるみになって、現地へ自動車で移動できればベストでしょうけど、自動車に乗り込むとき、あるいは自動車車内を覗き込まれたりが支障を来すこともあります。そんなときでも、全身タイツ(と、その内側のアンコ)だけでも、自宅で着込んで、その上に普段着を着て隠して行った方が良いですね(もちろん、頭の部分は外して服の中に隠しこんでくださいね!)。現地での自動車内での着替えがうんと楽になります。 2)は着ぐるみの視界の悪さ、全身覆われてることの動きにくさから、微妙に普段よりゆっくり目の歩速になりがちです。 それと、子供達が寄ってきた場合、どうしても握手したり、愛想振りまいたりしなければいけませんよね。これが、予期せぬタイムロスになりがちです。 3)は「着ぐるみは人前でしゃべらない」を押し通そうとすると、周囲に人が多いときコミュニケーションの取りようがないですよね。 なかなかサポーターと呼吸が合ってないと、お互いどうしたらいいのか分からなくなって、「お見合いの時間」が長くなってしまいます。 以上の理由から着ぐるロケは思っている以上に時間がかかります。計画には十分に余裕を持った時間を組む必要があります。 (くれぐれもお願い!タイムロスにつながるからといって、子供達が寄ってきたとき、あまりに無碍に拒絶しないでくださいね。見た目だけじゃなくて、心もかわいい、優しげな着ぐるみさんであってくださいね) 6.サポーター心得 まず、目の前に着ぐるみがいて、写真撮影が出来るわけですからウキウキ気分にはなるでしょう。けど、その気持ちはぐっと抑えて、サポートすることを万事に優先させてください。着ぐるみは動きが悪い、視界が悪い、しゃべれない、のないないづくしです。普通に行動する分はこなせても、予期せぬアクシデントが起きた場合、まず対応不可です。 以下サポーター心得です。 1)まずは安全第一。着ぐるみの安全を確保してあげてください。 ・足下の視界の悪い着ぐるみは、階段等の段差に来たとき声をかけてあげる、 水たまりを避けるよう誘導してあげる。 ・周囲の状況を常に把握する。邪心を抱いたような人間(注1)が近寄らないか、 自動車や自転車等が着ぐるみに接近してこないか等 ・着ぐるみの歩きやすいルートを確保してあげる。 移動時は前を歩いていく先導役と介添え役が着ぐるみの後ろから歩いてあげるのが望ましいです。 2)着ぐるみの身だしなみを整えてあげる。 着ぐるみは自分の衣装や髪の乱れをなかなか把握できません。ロケで移動したり、風に吹かれたり しているうちに身だしなみが乱れてきます。そんなとき、サポーターが直してあげてください。 3)状況判断を的確に 先にも述べたように着ぐるみは万事動きが鈍くなりがちです。スケジュール通り進行するよう、タイムキーピングを心得てください。 また、着ぐるみしてると、面の中に二酸化炭素が籠もるせいか、はたまたは面の重みで頭への血行が悪くなるせいか、多少「思考・判断」がにぶりがちです(^^;) 時間感覚もかなりあやふやになります。状況判断はサポーターが率先して行ってください。 4)周囲の人とは臨機応変に 誰もいないところではともかく、着ぐるみ撮影したいような所は大抵人がいます。 地域(注2)によっても差はありますが、物珍しさに「何をやってるんだろう?」と話しかけてくる人達もいますから、サポーターはそういう人達ともむやみな誤解を抱かれないよう応対することは勿論です。 着ぐるみ通じての世間話の1つや2つ出来るとイイですね。 ちなみに、「中に入ってるのは男ですか?女ですか?」と聞かれることが多いですけど、なんと答えるか。 事前に考えておいてくださいね。 良きに付け、悪しき(?)に付け、サポーターは着ぐるみの「ポチ」でなければなりません(^^) まずはご主人(着ぐるみ)の身を第一に考え、次にご主人と遊ぶことを心がけてください(^^) (注1) ・着ぐるみの頭を意味もなくポカリと叩いていく不届きものが稀にいます。 何故かカップルの「女性」に多い。大概着ぐるみを愛想を見せるでもなくじーっと見ていてから、ふいにツカツカ近づいてきたら要注意。 ・股間をさわろうとする人。何故か物事わきまえていそうな大人の男に多いです。 中身が女性だったら犯罪になるんだけど、どうしてこういうことするんでしょうね。 ・中学生〜高校生くらいの女の子グループは集団心理で「おばさん化」していることがあります。 まぁ、他愛もないものですが、着ぐるみを囲んでこづいたり、胸さわったりスカートめくったり、やりたい放題します・・・ こういう輩は、そう毎度毎度現れたりしませんが、もし現れたら、着ぐるみはまず対応できませんので、サポーターは未然に阻止してください。 他に、着ぐるみに対して(あるいは普通と違う人達を)非常に不快に感じる人も世の中にはいます。 もしそういう人と遭遇した場合は無用な軋轢は避けてロケをやめた方が賢明でしょう。 (注2) 大阪周辺はロケをやっていると「なにやってんねん? 一緒に写真撮らせてや」と言ってフレンドリーに寄ってくる人が多いです。 一方、東京周辺はロケやてっても遠巻きにしてたり、無視していたり、あまり近寄ってきません。 毎度こうとは限りませんけど、社会心理というか文化人類学的に面白い地域差ですね(^^) 7.撮影終了後 目的が完了したら、着ぐるみは早めに引き上げ・着替えることを心がけましょう。 楽しんだ余韻に浸って、いつまでも着ぐるみのままでいたいのはヤマヤマですが、サポーターの人達は疲れています。所定の目的が済んだら、さっさと着替えてサポーターの方達をねぎらってあげましょう。 それと当然のことながら撮影許可貰った先には事後にお礼を申し立てましょう(ここで改めて言うまでもない事ながら)。 以上が着ぐるみの野外ロケをするときに気を付けなければ行けないこと、気配りしないといけないことです。 状況によっては、これだけで「万全」と言えない場合もありますけど、楽しい着ぐるみロケを行うためにも、これらを配慮するよう心がけてみてはいかがかと思います。 それでは!良い撮影になるよう頑張ってください(^^) (編集協力 コマさん、ばぁさん) |