コラムページ TAKAの視点

  ドーラー(doller)という言葉の生まれと変遷、そして私 '18.5.6
 
ドーラーという名称・由来を知らない方は以下どうぞ。
それに多少関わってきた自分のこともちょいと書いています。

 ネット上に、キャラショーなどの興業以外に個人で人型の着ぐるみをする人達が集いだしてもう20年以上経ちます。こういった人型着ぐるみをする人をドーラー(doller)とも呼びますけど、ドーラーという名称も古くに作られた言葉なので今となってはその由来を知らない方も多いと思います。
(北海道出身の方を「ドーラー」と自称する方達もいましたが、最近はネットでもあまり見かけなくなりましたね。2000年代前半くらいまではよく、そちらの方々からも声を掛けられたりしましたが)

 話戻って、着ぐるみの「ドーラー」について。
 かく言う私も自分で『ドーラーです』とは名乗っているものの、ドーラーという言葉自体は私が着ぐるみを始めるより更に5年も前の造語なので、私もそれが生まれた話は当時それに携わった人達から聞いた話となりますが。ここでは記録がてら、その由来等について書き記しておきます。

 1990年代初め頃に個人で人型の着ぐるみをする人達が既に何人かいました。
 さる方は着ぐるみショーに感化されて、またさる方は造形の研究のひとつとして取り組むとか色々ありました。その中で特に多かったのが異性装(女装)の一形態として着ぐるみをするという人達でした。その異性装の中でも・・・
  1)当時アメリカにはフィメールマスクが既に有り、
    それを輸入もしくは自作しようとする人
  2)一方日本にはキャラクターショーでFRPを使った
    面がありましたので、それを自分達でも持とうとする人
等がありました。

 1990年代初め、女装をされてた牧瀬由希さん(史上初の個人着ぐるみサイト運営)は同時に『人形になりたい』という嗜好もあり、それからフィメールマスクを使った着ぐるみ女装を始められ(上記1)の系譜ですね)、同時期に水野由美さん(私の着ぐるみの師匠)も女装からキャラクターショーなどの二次元キャラ女装を自作面(上記2)の系譜)で行っていました。
(このお二方以外にも、当時既に着ぐるみをされていた方がTAKAの知る限り4人はいました)
 1994年、牧瀬さんのフィメールマスク女装が知られるようになった頃、ある雑誌編集者が興味を持って、マスクを使った女装を取材しようとしました。この話を受けて牧瀬さんから水野さんも一緒に取材に応じないかと話が持ちかけられ、お二人のインタビューが雑誌に掲載される運びとなりました。その際、「着ぐるみ女装」とするのは語呂があまりよくないと考えた編集さんが、

 着ぐるみ→ 人形の格好をする人→ 人形(doll)と人(er)の造語はどうだ?

と捻り出し、ここからdoller=ドーラーという言葉が誕生しました。
 以上の誕生経緯から、1994年当初はドーラーという言葉は元々はフェチ(人形嗜好)的なニュアンスの女装着ぐるみを指していました。
 その後1996年頃から水野由美さんを中心に二次元キャラの女性着ぐるみをした女装の方々が後楽園や豊島園のコスプレイベントへ徐々に参加するようになっていき、その際自分達をドーラーと称していました。

 コスプレイヤーでも女装レイヤーでもなく、着ぐるみでもなく。
 なんでドーラーと自称したのか?

 折々に色んな考えがあったと思いますが、私が断片的に聞き集めたところをひとつ。
 面をかぶって視界が限られる着ぐるみは、コスプレイヤーと同列にされるものではなく、周囲に危険が無いよう一歩引き下がっていなければいけないと。その点から、 イベント主催者側にもコスプレイヤーとは別物と認識して貰った方が良いという考えから。
 ('90年代の面は、今と違って一部を除いて視界が非常に悪いものが多かったのです。工房製の販売面でさえも正面の視界が確保出来ず、足元しか見えないものも有ったり)

 そして、「着ぐるみ」と言ったら当時は即キャラクターショーを指すものであって、個人でそれを模倣してやっている自分達を「着ぐるみ」であると同列に呼ぶにはおこがましいという考え方。

 随分卑下した考えで、ワンフェスやコミケで肩で風切り(w 着ぐるみしてる今現代から振り返れば「へっ?」と思うでしょうけど、'90年代当時はそうした「他の迷惑にならないよう」と一歩下がって、端っこでやらせていただくのだという気運がとても強く、そういった観点から「自分達は違う者達です」と区分けして貰うために。ところでそれじゃ私達を自身何と名乗ろう? そうだ、ドーラーという呼び方があったじゃないかと。

(この「他の迷惑にならないよう」の気持ちが強かったが故に、コスイベントで子供達と向き合うときは必ず腰を屈めて子供と同じ目線高さになる、あるいはキャラに徹 しきってしゃべらない、といった着ぐるみのマナーを皆守っていこうと、お互い注意しあっていました 。ついでに思い出しましたが、よくチャットでは「着ぐるみするときは、カタギ衆の迷惑になっちゃあならねえ」と。・・・俺らヤクザかよと笑いあってました)

 1994年に初めてこの造語を作った雑誌編集の方からすれば、その後の展開は「ありゃりゃ?」な使われ方になって行ったのですが。
 こうしたねじれた使われ方から、1999年頃はメタモルフォーゼ研究所(当時、唯一チャット機能を持った着ぐるみと異性装のHP。1998年に史上初の着ぐるみオフ会を開催)のチャット上でも、折に触れてはドーラー以外の呼称を皆で考えあったのですが。そのうち、1999年には私(TAKA)や南霧涼さんが男のキャラ着ぐるみでコスプレイベントへも参加するようになってしまったので、女装の範疇からも外れだし。
 また一部の人達からは

  「最近の人は着ぐるみするのをコスプレと勘違いしてる(私らは異性装をやってるんだ!)」

と暗に私(私は1998年から着ぐるみを始めたので、それ以前に始めてる人が10人からは居たわけで)に向かって言われたこともありで・・・。
 それでも結局の所、コスプレイベントへ着ぐるみをして参加する人達へ使う呼称として適当なものは遂に出てきませんでした。
 自分をドーラーとは呼ばず、「着ぐるまー」とか「着ぐる民」とか名乗るケースもありましたが一般化しませんでした。一方、コスプレイベント主催者側での認識は広まっていき、

 人型の着ぐるみをするコスプレイヤー= ドーラー

と括るようになって、コスイベントの参加要項にも「ドーラー」と記載されるようになっていきました。それが2000〜2001年頃だったと記憶しています。多分にそれはそのころからケモノ系の着ぐるみさんも現れてきた、そちらとの区別という観点もあってドーラーという言葉が必要とされたかもしれませんが。逆にコスイベント側からそう呼称されることで(一般レイヤーさんもそういうものだと捉え)、人型着ぐるみをする人がいわゆるドーラーだとするイメージが定着していった感があります。

 ただ、現在はコスイベントでこそ「ドーラー」という言葉を使う機会が時折あっても、「自分はドーラーです」と言っている人はほとんどいません。私を含めて数人くらいでしょうか。2003年頃、「ドーラー」を名乗ることがネット上で攻撃対象になったからです。

 その頃、着ぐるみ面の工房・制作元がたくさん面を作るようになって、着ぐるみをする人が急激に増え始めました。その際、一部の人達が以前から着ぐるみをしていた人達を「古株」と呼び、匿名掲示板を使ったネガティブキャンペーンを展開しました。当時問題ある人が居たのも事実ですが、無いことまででっち上げてでも「古株」というくくりで攻撃してくる匿名の揶揄には辟易としました。
 その際の騒ぎで、ドーラーを名乗ること=古株と目されたので、それまで「ドーラー」を名乗っていた人や、ホームページに記載していた人も自分に飛び火してこないよう、相次いで看板を下ろしてしまいました。その結果、「ドーラー」を進んで名乗ろうとする人が消えていきました。
 あのときの騒ぎは私も嫌気がさして、もう着ぐるみ界隈から離れようかと2004年に半年程HP(Dollers Station 2000)の更新を停止したりもしましたが、自分がドーラーであるという看板は下ろさずに今に至っています。それは匿名の誹謗中傷に対する抗議というか反発もあります。
 ただ、着ぐるみを始めたごく最初の頃です。着ぐるみをして更に自作もした私に、師匠の水野由美さんが

 「TAKAさんも(女装はしてないけど)立派にドーラーや」

と言ってくれたのが、一緒の仲間だとしてくれた、それが20年以上経った今も嬉しくて。
 それを続ける理由を掲げる上で、こっちの方が抗議や反発よりずっと大きな理由でいるのです。たぶん、着ぐるみを続ける限り「私はドーラーです」と言い続け、仮に着ぐるみをやめれば「私はドーラーでした」と言うでしょうね。そしていつしか「最後のドーラー」と呼ばれてしまうか・・・いや、「ドーラー」の名前にこだわってる人がまだいますね。たぶん、自分が最後にはならないだろうな。
(^^)


  初めてコスプレイベントへ行くとき '13.10.6
   今回はコラムというより、「今度初めてコスイベントに着ぐるみで行くんですが・・・どうしたらいいでしょう?」と訊ねられたので、私なりに注意した方がより良いですよということを以下に書き連ねてみます。

● まず会場下見
 着ぐるみに着替える前に、会場全体のレイアウトを実地で見て確認しておくこと。段差がないかとか、更衣室へ戻るとき、確実に辿っていけるランドマークを頭に入れておくとか。面をかぶって、長時間着ぐるみをしていると、結構、方向感覚・距離感がずれてくるので、あらかじめ実地を把握しておくと、迷いにくくなります。

● 着替えは、あらかじめ一人で出来るようにしておくこと
 更衣室は、狭く混雑するケースもあります。そうしたとき、着替えの手伝いで人が更に入るのは良くないですし、また更衣室を長時間占拠しない観点からも、着替えは一人で出来るようにしておくことが必要と考えます。
(でも、本来レイヤー以外の人が更衣室に入るのは、いけない気もするんですが・・・)
 あと、着替え時間は、日頃20分くらいでできるものが望ましいですね。40分もかかる衣装は、むしろ行くべきじゃないでしょう。
 全然、更衣室のスペースに余裕があるなら別ですが。

● サポートは付ける
 「素」のサポートの方がいた方が良いでしょうね。普段、家の中でやっていた人が、公衆の場という慣れない場所で、何かの弾みで一人では収拾できない状態に陥らないとも限らないですから。ただサポートと言っても、更衣室にまで手伝いに行くのは、先に述べた通りで、広さに余裕がない限り、入るべきじゃないでしょう。
 私が初めてやったときは、サポートなしでしたね(^^;) このときは、経験豊富なお師匠様が一緒に着ぐるみで出てくれていたので、そのあとに付いて、小さくなってやっていましたが。
 余談ながら、そんな初回だったせいか、私は写真を撮って貰うときを除けば、いつもサポートなしでやっています。

● 小さなカバン
 コスイベントの多くが、シールの参加証を、衣装等の見える位置に貼るよう義務付けています。
 小さな鞄等を持っていけば、そこに貼って見えるようにしておけば、写真撮影のときも衣装の上に参加証が無くて済みますし、貴重品の持ち歩きの上でも鞄は必要でしょう。

● 足元がしっかりした衣装(靴)、視界の良好な着ぐるみで行くこと
 人に誘導して貰わないと視界が悪くて動けない、という着ぐるみはイベント行きは止めましょう。迷惑になります。

● 急に動かない
 小さな子供は、着ぐるみを見ると、パーッと駆け寄ってきます。ときに、あなたの死角である背後足元へも、一目散に。
 そのとき突然振り返ると、子供を蹴り飛ばすことにもなりかねません。まず、周囲を確認して、次ぎに動き出すようにしましょう。

● 子供が寄ってきたら、腰をかがめて、目線高さで対応すること(must案件!)
 子供からすれば、見上げる巨人な着ぐるみですから、同じ目線高さになって、安心させてあげなければなりません。
 腰をかがめることは、ヒンズースクワットをすることになりますが、人気キャラともなるとその回数はハンパじゃなくなります。
 しかし、100回だろうと、200回だろうと、子供が寄ってきたら、腰をかがめてヒンズースクワットしてあげてください。
 (これは、私が着ぐるみを始めたとき、先達い必ずこれはやりなさいと、固く戒められたものです。皆さんも是非に!)

● しゃべらない、面を外さない。
 「中に人などいない!」です。着ぐるみは、着ぐるみなんです。人間の言葉を喋ったり、人間が現れてはいけません。
 特に、子供達のことを考えてくださいね。
 まあ、周囲に身内しかいないときは、いいんですが。案外、周囲に誰もいなくても、着ぐるみで出ている間は、また苦喋らない人もいまして、これはちょっと行き過ぎかな? 周りで撮影してくれる人、一緒に行動する着ぐるみさんと連携が取れなくなりますから、ほどほどに。

● キャラの動きをする、姿勢に気をつける
 着ぐるみは動いてナンボです。そして、着ぐるみは目立ちますから、常に360度全方位から観察されています。
 姿勢を正してください。注意しないといけないのが、時間の経過とともに、首の筋力が面の重さに負けて、猫背になってしまうこと、階段の上り下りにがに股になりやすいこと等々。
 稀に、お疲れなのか、ぼーっと突っ立ってるだけ、椅子に座っているだけ、という人も見受けられますが・・・。
 多くの方の場合、演じる着ぐるみは「少年・少女、うら若き女性」のはずですから。元気よく、演じましょう!

 では、綾波レイの場合はどうしたらいいのか?  ・・・今もって解がありません。。。アイデア、お待ちしております(w
 あと、これはコスイベントに限った話しではありませんが、日頃から柔軟体操をしておきましょう。
 肌タイツを着ている関係で、いざ着ぐるみをすると、本人が思っているほどには、周囲から見て動けていないケースがあります。身体を動きやすくできるよう、健康増進を兼ねて、やっておくのは良いことだと思います。

● 体調が悪いときは、早めに切り上げる
 まあ、何事でもそうですが。
 仮に着ぐるみイベント最中にトイレに行きたくなったなどの場合、
   クロークに、荷物の受け取りに戻る→ クロークのある場所・入り口を見つけるのにまごついた、クローク前に行列が出来ていた
   更衣室に着替えに行く       → 着替え室が混んでいて、着替え待ち30分の列になっていた
   更衣室にて              → 着替えるのに30分かかってしまった
 といった感じで、いざ着替えようと思っても、遠い道のりが待ち受けている可能性もあるわけで。その辺は頭の隅に記憶しておいて、早め早めの退却行動がよろしいかと。
 あと、夏の暑いときはあらかじめ飲み水も持っていって、着替えたらすぐに水分補給できるようにしておきましょう。
 塩も少し持っていくと、なお熱中症対策に良いです。


 まずは、こんなところを気をつけていけばよいのではないでしょうか?
 あとは、私の着ぐるみ方針・コスプレ編をご案内しておきます。
 まあ、当時随分論争の的になりましたが、これも色々考えていただけるきっかけになればと思います。

 着ぐるみ・マジック '07.9.16

 見る・見せるという視点で着ぐるみを話すとき、マジックと比較してみるというのもよいのではないかと思ったりします。
 マジックショーでは何もないところから鳩が出てきたり、カードが入れ替わったりといった不思議は人を魅了させます。そこには不思議を演じる「タネ」があるのですが、マジシャンはそんなことを悟らせないよう華麗な手さばきをして観客を不思議がらせます。観客も観客でその不思議さを驚いたり、「タネはなんだろう?」というちょっぴりの好奇心と推理を楽しんでいます。
 けれど、マジシャンはショーの最中にタネをばらしたりしないし(タネを明かすことを目的とする場もありますけどね)、観客は「あれはインチキさ」などと言い立てることもありません。「タネ」を介在して、如何に魅せるかということにマジシャンは喜びを見出し、それを見ることで観客は楽しみます。

 着ぐるみショーは、「着ぐるみ」を介在して如何に魅せるか、ということにスーツアクター、スーツアクトレスの人達はショーに工夫を凝らすことが楽しいし、その演技を見ることで観客は喜びます。・・・もっともお子様達は目の前に立ってるキャラを見てるだけでも嬉しくなっちゃうものでしょうけどね。
 ただ、そこはマジックと同じで着ぐるみの中身をばらしたり、観客の方が「あのなかは別人が入ってるんだよ」と言ってしまえば、その時点でショーは台無しになります。

 私的に着ぐるみをするとき、少なくとも大勢の人の目に触れるコスプレイベントやロケに行くときも同じではないかと私は思ってます。
 マジックをする以上、タネはばれないように
 マジックで人を魅了できるように
 マジックは華やかに、スマートに
と、いったところに気を配っていきたいですね。
 なにもプロじゃないし、見せて金を取るわけでもないから勝手にやればいいじゃん、というのもありますけど、こういった気配りをすると、人前で着ぐるみをすることに、さらに面白さが増しますよという提案と受け取ってください。

 私自身、コスプレイベントに行っていたのは人のやっているのを見て楽しそうだったから、外で着ぐるむチャンスが欲しかったから、くらいなものでした。最初の頃は。
 これだけでも凄い快感でした。およそ普段は絶対有り得ない、周囲から集まる視線や、「写真撮らせてください」と次々に申し出されること(撮られたガールの気持ち、よく分かりました)とか、風に髪がなびくのを感じたり。
 でも、遊園地のコスプレイベントに行って、随分考えが変わりました。
 遊園地では当然の事ながら家族連れ、子供達が大勢いますよね。その子達は着ぐるみを見るとすごく楽しんでくれます。握手したりほっぺをぷにぷにしてあげたり、だっこしたり、じゃんけんしたり。ちょっと一緒に遊ぶだけでもの凄く嬉しそうにしてくれます。子供達の方も(肌タイを触って)スベスベして気持ちいいねとか、面をしげしげと不思議そうに覗き込んでたり。「私ね、毎週さくらちゃん見てたよ」と言ってキャラと信じきって夢中になっておしゃべりしてきてくれる子もいたり。こういうのって、自分の方も、嬉しくなりますね。
 このとき、自分の着ぐるみで人を楽しませることが出来るんだなってことを実感として知りました。それと、子供達を喜ばせることで自分ももの凄く楽しくなれるんだ、ということも発見できました。
 以来、それまで自分の満足ためにやっていた着ぐるみから、周囲を楽しませる着ぐるみも考えるようになりました。演じることをあれこれ考え出しました。そういうときショービジネスとしてのマジックショーのスタイル(姿勢)は勉強になるんじゃないかなとあれこれ着ぐるみと対比させてつらつら考えたりしてます。

 以下遊園地などの各種コスプレイベントを想定して書いています。
 過剰すぎる演出も考えものですよね。
 例えば女性キャラを演じるときにやたらと媚び売るようにクネクネしてるのは却って不気味だし、優しいおしとやかなはずのキャラに似合わぬアクションポーズをとるとか。
 一方で着ぐるみを始めて間もないうちは、どうしても「棒立ち」になりがちなんで、意識して派手に動き回ったくらいの方が良いことがあります。
 棒立ちの着ぐるみって、着てる本人が自覚している以上に「棒立ち」なんですよね。着ぐるみはそもそも、普通の人間より一回り大きいので、でっかい物体がヌボーっとしてるというか。そんなのが視界を気にして固まった姿勢でよたよた歩いてく姿は、見ていて醒めちゃいますよね。他にも猫背で背を丸めたり、(日頃の疲れのせいでしょうか)くたびれた足取りで歩くとか、意外と気付かずにやっちゃってるものです。
 試しに自分の着ぐるみ姿をビデオに撮って見返してみると、そういうのは嫌になるくらい分かってしまいますよ。
 他にも衣装が汚れたり汗くさい匂いが付いたままとかいうのも避けたいですよね(キャラショーは(やむなく)そういう場合多いんですけど、なにもそんな悪いトコまで真似る要はないわけで)。

 あとは見る側にも着ぐるみそのものを楽しむ文化が定着してくれると嬉しいんですけどね。マジックショーを「インチキ」呼ばわりしないような遊び心を以て着ぐるみに接して欲しいというか。
 ただ、こればっかりは不特定多数の人に普及を図るのもおいそれとは出来るものでもないので、時間がかかるでしょうね・・・・

   
    以下は、KA07の前身、Dollers Station2000の風塵抄に掲載したコラムを転記したものです。
 風塵抄その14は、その後一部改稿して上にも重複記載しています。


風塵抄 その19 事に寄せて思うこと
(’07.7.1)

 いつもこう思うのです。
 あなたの演じるキャラを思い浮かべてください。あるいはあなたの着ぐるみ面を両手に持って向き合ってみて。
   そのキャラはあなたがそうすることを望んでいるのか?
   あなたの行動をそのキャラは積極的に肯定するのか?
   そのキャラを悲しませるようなことをしていないか?
 相手は2次元の理想像、正に「絵に描いた餅」であって、彼女彼らの希望にはなかなか適えられるものじゃありません。
 私も恥じることを間々してしまっています。彼女らが泣くようなことも・・・しちゃってるなぁ(汗)
 ただそれでも、最低限、可愛い笑顔の面の下にそれとは裏腹な人をおとしめるような野卑な考えなどは持ちたくないと思うのです。
  外面似菩薩、内面如夜叉
 そんな着ぐるみを私はやりたくない、やらないようにしたい。そう言い聞かせています。
 皆さんは如何でしょうか?


風塵抄 その18 あなたの着ぐるみをよりスマートに見せるには

(’07.5.22)
 今回は着ぐるみをお持ちでない方はご容赦を。着ぐるみを既に持っている、あるいはこれから持つ予定の方に参考に述べさせていただきたいと思っています。
 旧日本海軍では海軍に入隊したとき、「海軍軍人はスマートであれ」という趣旨のことを訓示されたそうです。四捨五入して言うと「カッコよくあれ」ということだそうです。
 ここで私が言う「スマート」も、この意味で使ってます。単に痩せて「スマート」ではありませんのであしからず。
 ただし、言わずもがなですが、理論と実践は違います。ゴルフの理論大家は多くとも、同時に優れたプレイヤーかといえば別物、というのと同じで。私が全てを実践できている訳ではありませんのであしからず。。。以下はあくまで私の考え、理想論です。

@ 痩せること
 当たり前のように言われることですが、私は敢えて言いたいのが「痩せすぎはいけない」です。
 ほっそりした体型は多くの人が美しさを感じますが、痩せるときはまず手足から細っていきます。一方で着ぐるみの面は大きいので、面の大きさと手足の細さがアンバランスに、最悪見た目にはギスギスして痛々しい感じになってしまいます。
 着ぐるみする人が集うと「ともかく痩せること」が話題に上がりますが何事も適量が肝心かと思ってます。逆にその意味で、多くの女性は元々骨格が華奢ですから標準体型よりちょっと細いくらいでも面の大きさに体がアンバランスに小さくなってしまうかと思います。女性はちょっと太めくらいの方が見栄え的には良くなると思っています。

A 清潔であること
 キャラを愛すれば、そのキャラが望む姿は何だろうかと考えませんか? 
 非常に稀ですけど汗臭い、かび臭い着ぐるみのままの人もいます。洗濯するなりファブリーズするなりですぐ解決できる話だと思うのですが・・・
 遊園地イベントなどの折は特に注意しましょう。
 私のテクニックのひとつとしては、洗濯するなどは勿論ですが、そのほかに着ぐるみを収納するケースに一緒に石鹸を入れておきます。くどくない、ほのかな香りが石鹸から衣装・面へ自然に移ります。

B 着ぐるみするときの姿勢を日頃からチェック
 写真撮影だけであるならともかく、コスイベントなどの人前に出るとき、キャラらしい動きが出来なければ「スマート」とは言えません。
 ところが、着ぐるみの時は普段より動きが悪くなりがちです。それは主に次によります。
  ・面をかぶることで頭部が重くなる
  ・面をかぶる(耳を覆われる)ことで平衡感覚が失われる
 
 自分自身は気づいていないだけで、面の重さで猫背になったり、バランスが取りにくいことから、つい、ガニ股になったり。
 耳を覆われると耳の奥で平衡感覚を司る三半規管が正しく機能できなくなるので、面の重さに上体が振り回されることと相まってバランスが取りにくくなります(着ぐるみで片足立ちしてみると、如何にバランスが取りにくくなるか、よく分かるかと思います)。
 上記が極端に行ってしまって、端から見ると、とても「美少女」とは言えない、もの凄い姿勢になってる着ぐるみさんを稀に見かけます。
 人前に出る前に、普段から写真で撮るなり、姿見に映すなりで、自分の着ぐるみ姿の時の姿勢をチェックして、悪癖を修正しておくべきでしょう。
 スマートに見せるためのひとつの手段として「モデル立ち」をソツなくこなせるように練習しておきましょう。モデル立ちを体得しているだけで、俄然見栄えが変わりますよ。

C 関節を柔軟に、筋力をほどよく付けること
 着ぐるみしているときは、肌タイ+衣装と、全身が覆われて関節の曲げ伸ばしがしにくいものです。このため、自分は手足を動かしているつもりが、傍目には「ナニヲモジモジシテルノ?」くらいにしか出来ていないことがままあります。
 自分の着ぐるみが動いてるとこをビデオに撮ってチェックすれば一目瞭然かと思います。
 関節の曲げ伸ばしがしにくいのですから、その対策が必要ですが、案外この点は見落とされがちです。
 錆びた蝶番ではドアの開け閉めも苦労します。
 普段から柔軟体操をして関節を動かしやすくしておきましょう。
 動きやすくするためには筋力を付けることも手段の一つですが、あまり筋肉ムキムキなキャラを着ぐるみでやる人も稀でしょうから、まずは柔軟体操がおすすめです。
 ただ、そうは言っても重い面をかぶって動き回るわけですから、筋力はほどよくあるに超したことはありません。

 @〜Cが出来るだけで、あなたの着ぐるみは格段に「スマート」に見えてくると思います。
 勿論、「なんだ、こんなのもうやってるヨ」と仰る方も多いと思います。そんな方は是非「スマート」に見せる方法をみんなにご提示ください。
 スマートに見せる方法の5番目は

D 周囲に気遣いを示せること
 です。
 あなたは、なんのためにそのキャラになりますか(着ますか)?
 そのキャラの優しさ、素直さ、あたたかさに惹かれたはずですよね? かわいい面をかぶるのは、外面似菩薩内心如夜叉となることではないわけで。
 あなたが着ぐるみをする上でそれを他人にも示すことが出来れば、自然そういうオーラが出てくるものです。ぐんとスマートに見えるはずですよね。
 ナンチャッテ (^^)v

風塵抄 その17 綾波堂が終了して

(’07.3.2)
 まだそれでも復活するかもしれない、一時的なものかもしれないと、しばらく静観していましたが、やっぱりそうなのかもしれませんね。
 小西忍さんのHP・綾波堂がネットから消えております。
 最近、着ぐるみの世界に入ってこられた方はあまり馴染みがないかも知れませんが、’98年夏に小西さんが現れたのは当時の人達には凄い衝撃だったのでした。
 私自身、着ぐるみに目覚めたのが’98年の4月頃で、お師匠様の水野由美さんとコンタクトを取ったのがその年の6月でした。当時、私的に着ぐるみをする人相手の販売などありませんでしたから、皆手探りで自作をしていた時代です。プロの作るショーブツに比べるとまだまだな時代ではあったのですが(先輩諸氏すみません!)、それでも私は「すげー!こんな人達がいるんだ」と興奮するコトしきりだったのですね。特にお師匠様の惣流・アスカ・ラングレーなどは私にとって垂涎の的でした。
 ところが7月になってお師匠様から「TAKAさん今月のホビージャパン見ました? 他にもアスカや綾波の着ぐるみをやってる人がいるけど」と教えられて見たのが小西忍さんの綾波であり、アスカでした。当時の私的に着ぐるみをする人達全てがその完成度の高さにびっくりして、凄い! こんなものを自作で作ったのか! という衝撃が走りました。今でこそ個人向けに販売する工房もあり、私的に着ぐるみをする方々のレベルは飛躍的に上がってきていますが、当時小西忍さんの自作着ぐるみは一頭抜きん出た存在だったのです。
 私も、あれは衝撃でした。
 あしたのジョーに例えれば、6月頃までは力石徹やカルロス・リベラを見て「すげー。世界にはすげぇ奴らがいるぜ!」と目を輝かせて興奮していたのが、7月に入って、そのカルロスをあっさり1RでKOしてしまったホセ・メンドーサが現れてジョーは呆然とする、そんな感じで。
 (^^;)
 いやー、当時小西さんのことを女性ドーラーだとガセネタ撒いた人がいて、お師匠様も「女性ドーラーまで出て来ちゃ、私ももう駄目だな」と苦笑いしてたのを覚えています。
(^^)
 私自身が着ぐるみを始めた立ち上がり時期とお師匠様や小西忍さんが着ぐるみから引いていくタイミングが同じだったこともあって、小西忍さんとイベントでご一緒できたのは2回だけで、結局直接話しをする機会は有りませんでした。メールではやりとりさせていただいて、相互リンクもさせていただいていたのですけど。いつか小西さんと、ダブル綾波、ダブルアスカ(こっちは、’99年のWFでちょこっとだけ出来たのですが)をやりたいと片思いしていましたけど、遂にそれも見果てぬ夢で終わってしまいました。
 小西さんはその造形の腕を生かして某造形の会社に就職されたようですけど、今はそちらが忙しいのでしょうね。いつかまたこちらに帰ってきてきて欲しいと思うばかりです。

 ホビージャパンに載った小西忍さんのアスカ。 私のこれはその5年後に同じ場所で撮ったものです(^^;)

風塵抄 その16 オフ会開きましょうよ

(’06.12.5)
 オフ会の幹事をよく手がけるので、
「TAKAさん、オフ会やりましょうよ?」
「オフ会近日開きますか?」
 と言った問い合わせがよくあります。
 特にこの数年は春秋に泊まりがけの大きなオフを続けて開いてきたので、9月辺りから何度も訊ねられました。そういう方に私はよく笑いながら、
「ときには、あなたがオフ会を開いてくれませんか?」
「たまには私を招くオフを開いてよ」
 と問い返します。
 けれども、問い返してもオフ会が開かれたことはありません。
 参加された方々も「楽しかった」「また今度も誘って下さい」と口々にされるのですが・・・ところが、何故なんでしょうね。それだけ楽しければ人に頼むより、自分から開いた方がもっとオフの機会が増えると思うし、自分の思い描くオフが開けると思うのですが。
 なかなか、自ら率先してオフ会を開こうという人は限られているようです。
 みなさん、もっと、自分達でオフ会を開きましょうよ!

 全くオフ会の経験が無い(あるいは浅い)人に、いきなり10人規模のオフ会開いてよ、などと言うつもりは毛頭ありません。
 むしろ、もしそういう方がいたらオフ会を開く上でのノウハウみたいなものもありますから、「ちょっと待って。考えた方がいいよ」と言いたいですけどね。

 ちなみに、今回オフ会に関する事をテーマに書こうと思い立って進めているのですが、思うことは色々あるのですが、どうもまとまった話しに出来ずに困っています。
 以後、若干脈絡のない話が続きますが、ご容赦を。

 では、オフ会を開く上でのノウハウとはどんなことか。
 微に入り細に入り色々有りますが、比較的大きなオフを開くときのことを念頭に、私が気に留めていることを幾つか抜き書きしておきます。
 あくまで私の考えです。。。
  ・幹事自身が初対面である参加者は2,3人以内に抑え込む
  ・着ぐるみを自前で持たない人も控えめに
  ・オフ会は全員で作る(盛り上げる)、という参加意識の希薄な人は呼ばない
  ・未成年者(厳密な線引きは出来ないけど、社会人として責任能力があると
   周囲からは見えない人)は呼ばない
  ・着ぐるむ人の宿泊スペースは1人辺り2畳以上が望ましい
  ・外食(あるいはロケ)といったスケジュールを組むとき、10人だったら、
   予定時間にプラス30分、20人だったらプラス1時間は余分に見込むこと。
  ・アルコールの用意は控えめに。飲めば大抵の人は着ぐるみどころじゃなくなる。
   親睦メイン、着ぐるみ二の次なら別ですが。
  ・人数が増えるほど、加速度的に会全体の動きは鈍くなる。グループ単位で個々に
   行動させるよう誘導すること。
  ・幹事補佐を事前に指名しておく(年配、経験豊富な、いわゆる「にらみの効く」人に
   いてもらうこと)
   20人くらいであれば補佐役は二人以上必要。他にも各種係りを設けておくと運営が
   スムーズになるのは、言わずもがな。
  ・幹事は会場とその周辺を事前下見しておく。
  ・オフ会でのルール申し渡しは会が始まる一番最初に申し渡す。また、
   (言っても聞いていない輩が必ずいるので)張り紙をしておく。
  ・人間関係の事前サーチをしておく。
  ・幹事はオフ会中も職務を優先・全うする。参加者の送迎、追加資材の買いだし、
   スケジュール管理等々幹事業務(雑務)の合間に着ぐるみを楽しむこと。
  ・オフ中にロケをする場合は幹事以外に仕切を任せ、幹事自身はいざというときのために
   フリーになっているのが望ましい。
  ・荷物が散逸するので、早出の人は同室、もしくは同じエリアで固める。

 ああ、書き始めると本当にきりがないですね。数人レベルの集まりではこの限りではないですけど。

 それと、オフ会というと個人宅や貸別荘を借りてのオフ会があります。
 特に貸別荘は、探せば室内のシチュエーションも凝った造りのものがありますので、個人宅で集まるより撮影バリエーションがぐっと増えますね。個人宅ですと、どうしても「生活している場」であるというのが写真にも写ってしまいますので。日常生活の中の着ぐるみが良い、というパターンもありますけれど・・・
 他にオフ会場としてお勧めなのがハウススタジオ。レンタルスタジオでの撮影会です。
 背景、シチュエーションは貸別荘より更に豊富ですし、場所によっては夜間も貸してくれるところもあります。貸別荘は大抵観光地になるので、そこまでの交通費、観光地の食費高さを考えると、都市部のハウススタジオ・レンタルスタジオ割安の泊まりオフと考えると非常にありがたいものです。

費用 広さ 撮影バリエーション 準備し易さ
個人宅
貸別荘
スタジオ撮影会


まだまだ色々ありますが、一旦この辺で。

 

風塵抄 その15 歴史になっていくのかなぁ
(’06.5.1)
 今日でDS2も7年目に突入することになりました。
 いったい、いつまで続くことになるのやら(汗)
 変わらず、連日足を運んでいただいている方々に感謝いたします。それに、最近はライブ用に開いたチャットも、常時人が来るようになり、にぎやかにしていただいていることはありがたい限りです。
 1度、着ぐるみをもう止めようかと思ったことがあります。2年ほど前でしたか。風塵抄の9から13を書いた後の頃です。あの時期、着ぐるみの世界は随分と騒がしくなりまして、着ぐるみをしたい、という気持ちに全くなれなくなりました。DS2もTOPページとBBSだけ残して他を全てデッドリンクにしちゃいました。ただ、しばらく経つと「やっぱり自分はこれが好きだなぁ」と思い直して、DS2も復旧、閉鎖せずここまで至っています。今にして思えば、ああ、続けておいてよかったなぁと思っています。
 ただ、7年目を迎えた今、あまり気分も浮かばれていないところもあります。
 ご存じの方も多いと思いますが、先月よりメタモルフォーゼ研究所が無くなりました。
 この世界がここまで広がったのはDOLL HOUSEと、このメタモルフォーゼ研究所があればこそでした。
 私自身、’98年の7月から訪ねるようになり、そこで色々なことを得させていただきました。管理者の村島さん自身は自作しませんでしたが、着ぐるみの自作を目指す人達が群れ集っていました。そこで、製作の質問をしたり、ごく稀ではありますが、自分からも考えたテクニックを披露したりもしました。別に製作だけでなくとも、色々なお喋りも本当に楽しかった。あそこでの日々は本当に放課後のクラブの部室であり、文化祭全日の徹夜の追い込み、といった雰囲気が漂っていて、私にとって忘れることの出来ない、良い思い出となっています。
 ただ、2002年から事実上更新停止となり、村島さん本人も全くチャットに姿を現さなくなって、ほとんど無管理状態となっていました。ついにこの日が来たか、というだけなのかもしれませんが。あるいは村島さん自身はもう全く、そんな感慨は無いかな?
 私の方で一方的に感傷に浸っても、「もう解放してくれよ」と思われてるだけかもしれませんが。
 私の師匠筋に当たる水野由美(優)さんも去年はフィメールマスクに戻ってきた気配があったのですが、再び姿が見られなくなりましたし。
 「着ぐるみを一度始めた者はやめられない」
 という言葉もありましたが、私の中で大きな存在だった2人とメタ研がこの世界から消えていくのが寂しい限りです。

風塵抄 その14 着ぐるみ・マジック

(’05.1.18)
 見る・見せるという視点で着ぐるみを話すとき、マジックと比較してみるというのもよいのではないかと思ったりします。
 マジックショーでは何もないところから鳩が出てきたり、カードが入れ替わったりといった不思議は人を魅了させます。そこには不思議を演じる「タネ」があるのですが、マジシャンはそんなことを悟らせないよう華麗な手さばきをして観客を不思議がらせます。観客も観客でその不思議さを驚いたり、「タネはなんだろう?」というちょっぴりの好奇心と推理を楽しんでいます。
 けれど、マジシャンはショーの最中にタネをばらしたりしないし(タネを明かすことを目的とする場もありますけどね)、観客は「あれはインチキさ」などと言い立てることもありません。「タネ」を介在して、如何に魅せるかということにマジシャンは喜びを見出し、それを見ることで観客は楽しみます。

 着ぐるみショーは、「着ぐるみ」を介在して如何に魅せるか、ということにスーツアクター、スーツアクトレスの人達はショーに工夫を凝らすことが楽しいし、その演技を見ることで観客は喜びます。・・・もっともお子様達は目の前に立ってるキャラを見てるだけでも嬉しくなっちゃうものでしょうけどね・・・(^^)
 ただ、そこはマジックと同じで着ぐるみの中身をばらしたり、観客の方が「あのなかは別人が入ってるんだよ」と言ってしまえば、その時点でショーは台無しになります。

 私的に着ぐるみをするとき、少なくとも大勢の人の目に触れるコスプレイベントやロケに行くときも同じではないかと私は思ってます。
 マジックをする以上、タネはばれないように
 マジックで人を魅了できるように
 マジックは華やかに、スマートに
と、いったところに気を配っていきたいですね。
 なにもプロじゃないし、見せて金を取るわけでもないから勝手にやればいいじゃん、というのもありますけど、こういった気配りをすると、人前で着ぐるみをすることに、さらに面白さが増しますよという提案と受け取ってください。

 私自身、コスプレイベントに行っていたのは人のやっているのを見て楽しそうだったから、外で着ぐるむチャンスが欲しかったから、くらいなものでした。最初の頃は。
 これだけでも凄い快感でした。およそ普段は絶対有り得ない、周囲から集まる視線や、「写真撮らせてください」と次々に申し出されること(撮られたガールの気持ち、よく分かりました)とか、風に髪がなびくのを感じたり。
 でも、遊園地のコスプレイベントに行って、随分考えが変わりました。
 遊園地では当然の事ながら家族連れ、子供達が大勢いますよね。その子達は着ぐるみを見るとすごく楽しんでくれます。握手したりほっぺをぷにぷにしてあげたり、だっこしたり、じゃんけんしたり。ちょっと一緒に遊ぶだけでもの凄く嬉しそうにしてくれます。子供達の方も(肌タイを触って)スベスベして気持ちいいねとか、面をしげしげと不思議そうに覗き込んでたり。「私ね、毎週さくらちゃん見てたよ」と言ってキャラと信じきって夢中になっておしゃべりしてきてくれる子もいたり。こういうのって、自分の方も、嬉しくなりますね。
 このとき、自分の着ぐるみで人を楽しませることが出来るんだなってことを実感として知りました。それと、子供達を喜ばせることで自分ももの凄く楽しくなれるんだ、ということも発見できました。
 以来、それまで自分の満足ためにやっていた着ぐるみから、周囲を楽しませる着ぐるみも考えるようになりました。演じることをあれこれ考え出しました。そういうときショービジネスとしてのマジックショーのスタイル(姿勢)は勉強になるんじゃないかなとあれこれ着ぐるみと対比させてつらつら考えたりしてます。

 ただ過剰すぎる演出も考えものですよね。例えば女性キャラを演じるときにやたらと媚び売るようにクネクネしてるのは却って不気味だし、優しいおしとやかなはずのキャラに似使わぬアクションとか。
 一方で着ぐるみを始めて間もないうちは、どうしても「棒立ち」になりがちなんで、意識して派手に動き回ったくらいの方が良いことがあります。
 棒立ちの着ぐるみって、着てる本人が自覚している以上に「棒立ち」なんですよね。着ぐるみはそもそも、普通の人間より一回り大きいので、でっかい物体がヌボーっとしてるというか。そんなのが視界を気にして固まった姿勢でよたよた歩いてく姿は、見ていて醒めちゃいますよね。他にも猫背で背を丸めたり、(日頃の疲れのせいでしょうか)くたびれた足取りで歩くとか、意外と気付かずにやっちゃってるものです。
 試しに自分の着ぐるみ姿をビデオに撮って見返してみると、そういうの嫌になるくらい分かりますよ(^^;)
 他にも衣装が汚れたり汗くさい匂いが付いたままとかいうのも避けたいですよね(キャラショーは(やむなく)そういう場合多いんですけど、なにもそんな悪いトコまで真似る要はないわけで)。

 あとは見る側にも着ぐるみそのものを楽しむ文化が定着してくれると嬉しいんですけどね。マジックショーを「インチキ」呼ばわりしないような遊び心を以て着ぐるみに接して欲しいというか。
 ただ、こればっかりは不特定多数の人に普及を図るのもおしそれとは出来るものでもないので、時間がかかるでしょうね・・・・

風塵抄 その13 メタ研を語る(5)
(’04.8.25)
 延々過去四回に渡って、これまで私の見てきたメタ研(メタモルフォーゼ研究所)を語ってきました。いかがでしょうかね?
 どういう人達がいるのか、また現在メインとなっているチャットルームがどういうものか、普段直ちに伺い知れないようなことを中心に書き連ねてきましたけど、これを読んで多少なりとも感心を持たれた方はチャットルームを覗いてみてください。あなたの望む場所であるとは限らないかもしれませんが、6年以上続いているチャットです。何か、それだけのものがあるはずです。
 ただし何も語らず、黙って情報や画像だけを漁っていくクレクレ君には・・・・おこぼれ程度は行くかも知れませんが、無償の愛をいつまでも降り注ぎ続けると言うことはありえませんので念のため。チャットの多くの人が一緒に好きなもの(着ぐるみ)について語り合いたい、としている場なのです。対話がない(出来ない)人とはどうしても疎遠にならざるをえません。初心の方は元々着ぐるみのことを知りませんから、いきなり入って話しにくい、何を話して良いのか分からないというのは当然でしょう。でも、着ぐるみが好きだという思いは詰まっているはずです。積極的に話をしてみてください。そうすれば、ただのクレクレ君とは見なされず、喜んで迎え入れられると思いますから(例外的に、何かタイミングが悪くて迎え入れてくれない事態に当たっちゃったらごめんなさいとしか言いようがないですけど・・・・私的にメタ研チャットのPRをしていますけど、私もチャットの管理者ではないし、毎日常駐してるわけではないので)。
 もうひとつ、最近、着ぐるみBBSのスレッドで私的に着ぐるみをする人達の間で裏ジャニについての言い争いがありました。既にご承知の方もいるとは思いますが、この「メタ研を語る」シリーズはそれを見て書き始めたものです。
 本来の話題から飛び火して随分色々な個人やチャット間の誹謗が飛び交いましたが、あまりに一方的な見方をする例も見受けられました。そこで感じるのが、メタ研というものがよく知られていない、もしくは大いに誤解されている部分があるということです。これを書いたからと言って、メタ研チャットが全て正しいなどと言うつもりは毛頭ありません。ただメタ研チャットに長いことお世話になっている人間として、メタ研というのがどういうところなのか?知っていただきたいという思いから書きつらねてみました。

 一連の文章はこれで締めにして、最後に何か気の利いたまとめをしようと考えてみたのですが、どうもうまくまとまりません。今もメタ研のチャットは蠢き、様々な話題を提供し続けていますし、自分のこれまでの体験の羅列だけを強引にまとめても、かえっていびつになってしまうかなと。自分の把握していない部分もあるでしょうし。また、何か語る機会も有れば続編を続けると言うことで、一旦はこのシリーズは今回で締めようと思います。

風塵抄 その12 メタ研を語る(4)
(’04.7.12)
 もう1回、メタ研チャットについて。
 メタ研チャットでは幾つか不文律があります。特に次の3つが大事ですかね。
  @他人の作ったもの(あるいは変装)を否定するようなことをしない。
  A他人の私生活・行動に干渉しない。
  B論争しない。
 @については容易に想像付くと思います。他人の作ったものを無碍にけなさないこと。
 発展的意見は当然良いですし、していくべきです。ここはこうしたらもっと良かったとか。この部分をこう変えてみては?とか。当然の事ながら始めて間もなければ、分からないことだらけですし、うまく行かないこともある。けど、初心者だからとか、あるいは、上手く着ぐるみを作れないからと、それをけなすことは絶対許せません。
 過去一度、フィギュア原型を作成していると自称されている方が来ましたけど「○○さん以外の造形以外に見るべきものは無いね。」と、凄い鼻高々な様子。
 みんな、よりよい着ぐるみを作りたい、あるいは操演出来るようになりたいと思っていますから、指摘されたことには耳を傾ける姿勢は持っていますけど、こういう自分の優位性をひけらかすだけの人はすぐに追い出されます。

 Aも割と分かりやすいと思います。チャットを通じて知り合った仲間ではありますけど、やたらと他人の領域に踏み込むのはトラブルの元ですからね。他人の個人情報(年齢とか、住んでる町や勤務先等)をチャット上で語るのも御法度です。
 気付かれてる方は多いと思いますが、メタ研のチャットは発言せず黙っている人達(いわゆるROMという人達)がときおり潜んでいます。チャット内にいる人達だけかと思っていると、実は黙って見ている人も多いのです。そういう中で悪意を持っている人に個人情報を見られるのは危ないですからね。昔チャット内でしか見せていなかった画像がいつの間にか流出していた、なんてこともあったのです。そういう黙って覗き見している人達が勝手にコピーして持って行ってしまっていたんです。特にオフ会の画像などは、「素」で着ぐるみと一緒に写ってる画像が多いので、勝手に持ち出されていっては困るわけです。なので、最近はチャット内でオフ会の画像を出すことはほとんど無くなりました。お互い画像を見れないのは味気ないものなんですが、致し方がない部分もあるんですよね・・・。
 ついでに言うと、こういうケースがあるので、メタ研チャットの中には過敏にROMに反応しちゃう人も出てきて、ROMを目の敵にする人もいます。元々はROMの側に問題があるにせよ、こういう過敏な反応するのもどうかなと、私は思ったりもします。どこからアクセスされて今覗き込んでるって、調べてる人もいるんですよ・・・・。一方で、ROMの中に、実は以前はメタ研チャットでよく話していながら最近はチャットに姿を現さずこっそり見ている人も結構いるのです。見かけては「そういうの、あんまり良くないんじゃない?」と軽くは言いますけど、なかなかお止めになりませんね・・・。言い過ぎるのも「他人の行動に干渉しない」に触れてくるし、自分がチャットの管理人というわけでもないので、そうそう言えないところですが・・・。
 なかなか難しいところです。

 Bの論争しない、というのはこれだけでは分かりませんね。もう少し詳しく言うと「白黒付ける議論、特に人の行動に絡む話しは、チャットでは限界があるので慎むべし。」ということです。決して、全ての議論を否定してる訳じゃありません。着ぐるみの操演方法をどうしたら、より自然に見せられるかとか、制作方法の検討とか、そういうのは幾らでも良いんです。ただ、チャットという文字だけの、不十分な意思伝達方法では、お互いの顔や身振り手振り、言葉の微妙な言い回しは伝わりようが無く、勘違いが生じやすいのです。
 議論してるウチに熱くなってきて、喧嘩になっちゃったり、発言を誤解されて感情的なしこりが鬱積したりと。
 なにもこうしたことは、人が集まる限りどこでも起きることですが、いかんせんチャットというコミニュケーションには不自由なツールを使っているので、よけいに行き違いが生じやすいです。
 過去些細なことから、何度チャット内で喧嘩沙汰になっていることか。’99年〜’01年頃は特に多かったでしょうか。私もオフ会の運営巡って喧嘩したことが有ります(^^;)。
 チャットが開設されて約2年経って、お互いの距離がぐんぐん縮まっていく過程の頃だったとも言えますね。お互いがより親密になってきて、相手のちょっとしたとこが我慢できなくなってきたりとか、あるいはこれまで見えていなかったとこがお互い見えてくるようになってきたと言うか。
 当時、Chikimaさんとは「今、お互い一番大変なときなんだろうねー。」なんて話をしてた憶えがあります。結構出て行っちゃった人もいますけど、かろうじて空中分解せず、ギリギリのところでお互い、このコミュニティを守っていかなきゃという気運も醸成されたりもしていきました。
 ともかくも、過去、何度もそういう修羅場をチャット上で繰り返し、体験した上での結論として論争は避けるべし、となったわけです。どうしても議論したいなら、オフ会で面と向かって話をするか、電話で話すかにしなさい、とされてまして、最近はチャット内での論争は滅多に見かけなくなりました(^^;)たまーに熱くなりかけると、周囲からさらっと、「自制しな」信号が飛んできたり(^^;;)
 これが良いのか悪いのか、簡単には言い切れないですけど。

風塵抄 その11 メタ研を語る(3)
(’04.7.11)
 前回、メタ研という組織・集団は事実上存在しないという話をしましたが、今回はそれにも関わらずなお盛況しているメタ研チャットについて。
 世の中着ぐるみ好きの嗜好の人は数多くいても、そうそう隣近所に同好の士がいるとは限らないもの。かく言う私が初めて着ぐるみに目覚めたときは、一番のご近所さんだった、みさとみなとさんでさえ250km彼方の人でしたし(^^;)
 そんな日本各地にポツン・ポツンと点在してた人々をネットを通じて結びつけた場がメタ研のチャットでした。
 メタ研チャットは、メタモルフォーゼ研究所開設後かなり早い時期からスタートしたと伺っています。色々村島さんがプログラムしては、チャット開設のごく早い段階に飛び込んできた素材屋龍之介さんに機能チェックしてもらいながら立ち上げていったようです。
 私は’98年7月4日(何故か憶えてる)にメタ研チャットに初めて入りました。私は最初水野由美さんの着ぐるみアスカに猛烈に惹かれて(もじもじ・・・)、熱い(暑苦しい?)思いのたけをメールで伝えていたのですが、「メタ研のチャットに来ませんか?あそこでリアルタイムで話しませんか?」と誘われて、初めて入る気になりました。
 正直、入るのに勇気が要ったんですよ(^^;)
 チャットというのをやったことがなかったというのもありますが、まず、入り口の背景が真っ黒でしょう。この中へ一歩踏み込んだらどうなるのかと思ったり。なにやら「説教部屋」などという、恐ろしげな名前もあったり(^^;)。それと、私は異性装はしてないけど、メタ研は元々異性装のサイトだから、入るときは源氏名考えなきゃマズイんだろうかと(真剣に)3日くらい考え込んだり。高野文という名前はこの3日間で考えた名前だったりします。
 たぶん今も初めて入ろうとする人は同じようにちょっと入るのをためらうことでしょうね。でも、そんなに心配なさらず入って来ていいと思いますよ。24時間、大抵誰か入ってますので、話しかけていかれたらいいと思います。ただし、当然ここも社会の一縮図ですから、必ずしも自分の求めているタイプの人とすぐに会えるとは限りません。いろんな人がいますから・・・数日入って、色んな方と話をするのをお勧めします。

 ’98年頃は、着ぐるみ(あるいは面)の購買先はわずかにアメリカのkerryMaskやユニコス等くらいでした。みんな手探りの状態で自作で着ぐるみを作成していました(メタ研のチャットで造形の技術とかを専門に勉強した人とかは、当時いなかったと思います)。そんなとき、情報交換の場としてメタ研のチャットが大きな存在でした。例えば髪の毛を入手しようとすれば、今でこそ、ネット上で簡単に手に入りますが、当時はそんなのはありません。どこそこで安く買ったカツラをばらして作るとか、吹田まりさんのようにスタッフ(麻の繊維)を染色して面に貼り付けるといった方法を採るとかしていたわけです。面を作るにはショーイベントなんかの面はFRPで作っていますが、安く作るために紙粘土を使ったり、その紙粘土もどれがいい、あれがいいと、お互いの研究の成果を持ち寄ってはワイワイやっていました。
 またその頃は、コスプレ(着ぐるみ)の出来るイベントというのが非常に限られていました。コミケかワンダーフェスティバル、あとは後楽園遊園地で10月に開催していたハロウィンパーティーか。年に数回しかありませんでした。同人誌の即売会でもコスプレ可能のものはありましたが、やっぱりやるからには大勢の人に(自分の作ったものを)見てもらいたい、あと、出来れば子供達と遊べるイベントがいい,と言うことで、あまり行きませんでした。
 そのため、イベントには新しく作った着ぐるみを持っていこうと、イベント前の2週間ほどは追い込みの修羅場と化している人達が同時に何人もいました。そういうとき、チャットに入っていては
 「おー自分は80%まで出来た。そっちはどう?」とか、
 「こっちは全然ですよー。小物はたぶん当日の朝作ってるんじゃないかな」とか、
 「私は2日間完徹・・・・やばいよやばいよ間に合わない・・・(イベント後の)打ち上げは出ないで、速攻帰って寝る!」とか、
 「誰かハサミ貸してくれー」 「どうやったら貸せるんだ!」とかとか。
 製作の進行実況を伝えあったり、励まし合ったり、あるいは製作しなくても端でチャチャ入れたり(^^;)
 あと、自分の製作してる着ぐるみのキャラはイベント当日までのマル秘扱い。当日みんなの「おー!」という驚きを楽しみにしてたり。また、作っていない人も、イベントに一斉に現れる新キャラを楽しみにしていました。
 ちょうど学校の文化祭前日、夜遅くまで追い込み作業してるような雰囲気があったりました。そんな中に一緒に加わっていると本当に楽しかったです。うーん、青春してたなー(爆)・・・・でも半分マジに思います。私は製作下手だったし、全然初心者だったけど、みんなと一緒に一生懸命やれるものがあったのは嬉しかったです。
 ちなみに後楽園のイベント後、打ち上げの飲み屋さんはいつも決まっていて、しまいには顔馴染みになっていました。
 しかし、年に1度、10月になると大きな(着ぐるみ一式の入った)カバンをさげた、妙に陽気で「ハイ」な謎の集団を、お店の人達は何と思ってたでしょうね(^^;)

 今は業者さんに着ぐるみを発注できる時代になって、また着ぐるみの出来るイベントが増えて(ややもすれば毎週のようにありますもんね・・・・)、上記のような光景は見られなくなりました。イベント直前に製作追い込みする姿は見られても、何人もの人が同時進行しているなんてことはまずありませんからね。
 ただ、あの頃一緒にイベント直前に熱中して着ぐるみを作っていた人達・仲間のつながりはやっぱり特別で、その後メタ研チャットに来なくなった人もいますけど、そんな時間を共有した人達がいまもメタ研チャットに多く来られています。

風塵抄 その10 メタ研を語る(2)
(’04.7.4)
 メタ研ってどんな組織、もしくは集まりなのか?
 よく、「メタ研のメンバー」、「メタ研内部の人」、「メタ研の外」と括られているのを見かけます。
 メタ研のメンバーとされているのはHP(メタモルフォーゼ研究所)上に記載されている所長の村島さんと研究員の新田さんの2人だけです。正確に言えば。あとは記載されてはいませんが、拡大解釈すればメタ研関西支部を自称しているfc3sさんでしょうか。
 ところが、所長の村島さん御自身は、この数年HPの運営を「縮退転」しており、今はメタ研のチャットルームのメンテナンスをする以外、ほとんどメタ研での活動を控えておられます。新田さん(と名乗るHNの方として)は私自身メタ研チャットに6年通いながら一度もお会いしたことありません(^^;)。fc3sさんは昨年メタ研関西支部をクローズされました。その上、メタ研のオフ会は私、コマさん、早久貴澄!さん、らーさんが幹事をした’02年11月の大オフを最後に開かれていません・・・・・。メタ研という「組織」は、現状、存在しないんです。
 (ちなみに、村島さんは、今はメタ研上で着ぐるみ・異性装の活動をほとんどされていませんが、「多くの人の異性装・着ぐるみの交流の場を残して、同好の人の支援を少なからず行っていきたい」との意向から、なおチャットルームの維持に携わられています)

 先に私、コマさん、早久貴澄!さん、らーさんがメタ研のオフ会幹事をしたと書きました。メタ研のメンバーでない人間が何故メタ研のオフを開いているのか?メタ研のオフ会と称する集まりは都合6回(正確な回数記憶していません。7回だったかも・・・)開かれていますが、正しく言うと「メタ研のチャットで知り合った人達の集まるオフ会」なのです。メタ研チャットに来て1週間足らずで参加された方もいれば、PFCの方の参加の例もあります。
 メタ研に馴染みのない方はメタ研という集団の人々がいるとイメージされるでしょうが、そうではないのです。おおまかな所としては、メタ研内部の人と目されるのは、このメタ研チャットによく出入りする人というのが、とても曖昧ながらも定義となります。
 曖昧という言い方をしたのは、メタ研チャットによく足を運び、周囲から見ればメタ研内部と見られても、自分自身はそんな認識を全く持っていない人もいるからです。あるいは積極的に否定される方もいます。
 でも、今は更に進んで、先に書いた「曖昧な定義」というのも輪郭を無くしつつあるという気がします。数年前まではインターネット上で、着ぐるみの話題をするチャットルームは、このメタ研チャットしかありませんでした。1極集中の構図ですね。その状況ではメタ研の外、あるいは内という色分けは割としやすかったです(いわゆるROMな人、あるいはメタ研と全く関わらず着ぐるみをやっている方)が、今は複数のチャットルームが存在し、多くの人がメタ研以外のあちこちのチャットルームを掛け持ちで行き来している状態が現れています。メタ研1極に対しての外・内という議論が出来るような状況では無くなってきています。

 ただひとつ気になっていることがあります。
 メタ研の「内部」「外部」という言葉を以て語られるのは大抵ネガティブな話しの場合です。あるいはネガティブという意識が無くても、持ち出して使う以上、ネガティブな方向に話が向かってしまうケースが往々にしてあります。それはメタ研のチャットでそういう話が出るときも、あるいはそこかしこメタ研チャット以外の場で使われる場合にしてもです。
 なにぶん、使いやすい言葉なので、出回りがちな言葉ではありますが、実態に即していないし、願わくは使われなくなって欲しい言葉ではあります。

風塵抄 その9 メタ研を語る(1)
 (’04.7.3)
 メタ研(メタモルフォーゼ研究所)が着ぐるみの世界(特に私的に着る人達ね)に与えた影響は言うまでもないことですね。私的着ぐるみを語る上では、好むと好まざるとに関わらず、メタ研を引き合いに話がなされる場面が多いのではないでしょうか。
 けれど、メタ研って、謎めいたグループ(あるいは集団?)に見られがちなんじゃないでしょうか。マイナスイメージの感想を私も時折耳にします。
 「あそこ(のチャット)に入るのはなんとなく敷居が高くて」
 「新入りが入りにくい雰囲気がある」
 「ガードが固くてオフ会画像等なかなか出てこない」
 等々。
 事実の一端を伝える話しもある一方で、かなり尾鰭のついた話しも、事実のように語り廻られているのも見かける今日この頃です。
 けれど、それを反駁したり、いや違うよというのを見かける機会も少ないし、ややもすればメタ研チャットに来ている人でもあらぬ誤解をまねく発言をしてることも時折で、気を揉んでいたりもするこの頃です。
 ひとつ、私なりにメタ研で見聞したことを語ってみようかと思います。

 メタモルフォーゼ研究所が出来たのは’97年の10月・・・だったそうです。私はメタ研チャットに訪れるようになったのが’98年の6月ですので、古株どころでも、ちょい新しめ、といったところでしょうか。
 最近はメタモルフォーゼ研究所を「着ぐるみサイト」として来られる方も多いですが、元々は異性装のサイトだったのです。着ぐるみも異性装の一形態といった感じです(思い違いをしてチャットで女装に対する差別発言をすると激しくブーイングされます。これ、今でも伝統)。’98年頃はチャットの中も4割前後くらいの割合で女装の方達がいました。それがメタ研チャット独自の雰囲気を作り出してもいましたし、今も雰囲気は多少残っているかなとも思います。
 ’98年の8月のコミケでメタ研チャットに出入りしていた着ぐるみメンツが揃って大勢現れ(と、言っても10人もいませんでしたが)、この光景を目にした人達が続々メタ研チャットに訪れるようになり、急速に着ぐるみの人の比率が増えていきました。それに歩調を合わせるかのように女装の方達が減っていってしまいましてね。チャットに入っても女装の話より着ぐるみの話の方が多くなっていってしまって、話す場が減っていってしまったのが理由でしょうか。それと草創期、結構喧嘩もあって、それを目にして嫌気がさして落ちていった方もいました。
 ただ、私は女装はしないんですけど、メタ研にいた異性装の人達の雰囲気がとても好きでした。女装というと、まず表面を女性らしく着飾ることでしょうが、内面も磨いておられましたね、皆さん。チャットの会話も品があって、気配りもできて。アットホームな雰囲気が醸し出されていました。私は仮に着ぐるみの話がでなくても、この人達と他愛もない世間話しが出来るだけで、楽しかったし、1日のストレスの解消にもなっていました。

 ’98年の10月の後楽園ハロウィンパーティでのことです。このイベントは私が初めて自作のアスカ面で臨んだ懐かしいイベントでした。

 はー・・・今でもあのとき、後楽園に流れていたBGMや各種乗り物のイルミネーションや吹き抜ける夜風の心地よい冷たさを思い出します・・・・
 と、言うのは置いておいて(汗)

 このとき、メタ研チャットの常連さん10名ほどが着ぐるみで集まっていましたが、それらに混じって榛名和希さん、麻生舞夢さんがいらしてました。お二人とも異性装で、普段着ぐるみに関心ある人達ではないのですが、メタ研チャットの着ぐるみする人達が後楽園に行く、ということでわざわざやって来てくれたのですね。集合写真を仕切ったり、着ぐるみ達の誘導・サポートを自ら買って出てくれて。
 普通、こんなこと出来ないですね?自分達は着ぐるみしないし、そんなに関心があるわけでもない。けど、同じチャットの仲間だからと言って、わざわざ出向いて応援にきてくれたんですよ。こういう方達がいると、自然とみんな仲良くしなきゃって思いますね。
 この頃のメタ研のオフ会は貸別荘借りて、夕食自炊だったんです。で、オフ会幹事グループは異性装の方達中心になって、わいわい騒ぎ立てながらゴハンの準備をして。あの当時は私は新入りさんの部類でしたので、端で幹事グループの奮戦ぶりを見て「なんか小学校の林間学校に来たみたいだ」って、ウキウキして見てました(^^;)

 こういう仲良くやってきた共通体験って大きいですよね。同じ釜のメシを喰う仲というのは結束が強くなると言うか(ついでに、近くなりすぎて喧嘩もしやすくなったりですけど)。
 ただ、逆の視点に立てば、この頃の共通体験がないと、新しく入ってくるとちょっとまごつくかもですね。決して悪意があって周囲を寄せ付けずにいるわけではないのですけど、あまりに内部で仲が良すぎちゃっていますからね。メタ研チャットの人々は新しい人を好意を持って迎え入れる人がほとんどです。同好の人同士として一緒に楽しんでいきたいと思う気持ちがとても強いです。けど、何かの折り、ふっと、この共通体験の無さに直面すると、疎外感に結びついてしまうかもしれませんね。好意的に迎えられたと思っていた分、落差が更に身に感じたりして。
 ただ、なにぶん個人差のあることなので、全然気にも留めず溶け込んでる人も現れてますし、一概には言い得ませんがね。

風塵抄 その8 着ぐるみするのって・・・・?
(’03.02.02)
 最近ある方から「着ぐるみする時って、恥ずかしいと感じちゃいませんか?」とメールで尋ねられました。
 その方はご自身も着ぐるみやってみたいなぁと思いつつも多少踏ん切りが付かないようでこんなことを尋ねられてきたようです。他の人に見られる(例えばイベントなんかに行く)ことをどう思うのか、その辺の気持ちを知りたかったみたいです。
 うーん、色々恥ずかしいなぁって感じることはちょこちょこあります。例えばイベントでコスプレ登録の順番待ちで並んでるとき、一般の方からじーっと見られるときとか(^^;)、着替えてる途中の中途半端な姿を見られるとか(^^;;)。
 まぁ、そういう枝葉なことは置いておいて、着ぐるみをしてるときは今はそんなに恥ずかしさは感じません。一番の理由には、姿形を完全に隠しちゃってますからね。他の人からはどこの誰とも分からないわけで・・・。
 それと、もうひとつ、着ぐるみしてるときは、着ているキャラのことを色々考えてますから。
 初めてイベントで着ぐるみ(アスカ)をやったときです。このときは緊張感と恥ずかしさもあってコチコチの棒立ちで、ポーズ取りもロクに出来ませんでした。先に姿形を隠しているから、他の人には分からない、恥ずかしくないなんて書きましたけど、初体験でそういった客観的なことにすら考えが及ばなかったですね。もう、周囲から見られてると思うと、ドキドキしちゃって、小さくなってました(時間が経つにつれて、姿形を隠してるから、わからないだろうと自分に言い聞かせて落ち着きましたけどね)。
 このときは牧瀬さんも居合わせていて、一緒に写真を撮らせていただきました。後日写真をお送りして、ついでに上に書いたような緊張で小さくなってましたと書いたところ、返信のメールで牧瀬さんから「TAKAさん、アスカをやっているのだから、もっとアスカらしく堂々としてればいいんですよ。」と牧瀬さんからもしっかり言われちゃいました。それで、
 「ああ、着ぐるみ着てるときは自分は内蔵に過ぎないんだ。自分のことよりも着ているキャラのことに考えめぐらせないと、ダメなんだな。」と改めて感じた次第です。以来、着ぐるみするときは、キャラになりきろう、キャラを体現しようということに神経廻すようにしてます。そうしたら、着ていて恥ずかしいって感じはいつからか無くなっちゃいましたね。
 もっとも、演じようとして、それが思い通りにうまく行ってるかというと、さにあらず。とても出来るモンじゃないですね〜(^^;)なかなかもって難しいです。

風塵抄 その7 着ぐるみの心理
(’01.06.24)
 以前、顔のことについて連載されている新聞記事を読んだことがあります。
 心理学的にも人間は顔=自分自身という感覚に囚われているため、逆に顔を隠すと自分自身も隠されたような心理状態になって安心し、内面にしまわれている自分をさらけだすことができるそうです。
 その新聞記事の引き合いには、だから覆面をした銀行強盗は危険な仕事でありながら、(普段の小心な心をうち捨てて)思い切った行動がとれるのだ、などと物騒なことも書かれていました。ちょっと銀行強盗の例とは違いますが、実際、着ぐるみをしていると普段の自分と違う感覚に囚われるようになります。着ぐるみも面で顔を隠す(ご丁寧に更には全身全て覆い隠してしまいますが)ので、同じような内面の変化が現れます。この辺は周囲から見ているだけでは気が付きませんが、私もやってみて初めて分かった不思議な感覚です。
 アスカを着ぐるみで始めたときは、「アスカになるんだからアスカを演じよう」と思って、しぐさや、動きをそれっぽくしようといろいろ研究しました。で、実際にアスカの着ぐるみをしたとき、初めは「そうしようとした意識の動き」なのですが、徐々に無意識のうちに自然にアスカらしく振る舞うようになってくるんです。そうしたとき、体は着ぐるみと不思議な一体感になります。その一方で、ふと気が付くと、アスカの着ぐるみを見つめている自分自身を感じます。何か、自分の魂だけ幽体離脱して、(アスカ着ぐるみの中には自分自身の体が入っているのに)まるで別人が動かしているかのような感覚になります。不思議な一体感というか、なんというか、これには自分でもびっくりしました。これはたぶん、面をしたことで、普段意識している自分自身(こうあるべきだと思い定めた自分)から解放されて、内面の本来の自分が現れたのかな?と思ったりします。着ぐるみをやっているときの自分が内面にしまわれている自分だとすると、本来の自分は随分愛想が良くて、子供好きで、イタズラが好きみたいです。こんなことは着ぐるみをやらなければ気が付かなかったか、あるいは無意識に思うまいとしていたでしょうね。
 こうしてみると、着ぐるみというのは見ている方だけでなく、演じている方も心をリラックスさせてくれる不思議なアイテムなのかもしれません。

風塵抄 その6 1周年を迎えて区切りをつけます
(’01.04.28)

 今回はお知らせ半分です。
 日頃、私のHPにお立ち寄りいただきましてありがとうございます。お陰様でこのHPも1周年を迎えつつあります。
 去年の今頃、自分のHPを立ち上げる際に考えていたことは、自分の作品を見ていただくと共に、これまで着ぐるみに関心の無かった人についても、着ぐるみの楽しさ、おもしろさを感じてもらえることが出来たらいいのになぁということでした(自分自身、水野由美さんの着ぐるみに引かれて、この世界にやってきたわけで、実際にやってみて、思った以上の楽しさ、世界の広がりを感じたものでした)。
 このため、HPを立ち上げるに際して次のような企画を考えました。

 ・いろんなシチュエーションでの遊び、パフォーマンスの着ぐるみをお見せする(各種イベント出場のレポートや、いろんな服の着替え)。
 ・自分の日頃の着ぐるみに関する思いをお伝えする(風塵抄)。
 ・着ぐるみの作り方を披露する(李小狼製作レポート)。
 ・着ぐるみの初心者の方にも入りやすいような橋渡しの場とする(業界用語の基礎知識、、各種掲示板、着ぐるみ出撃情報:途中で休止)。
 ・HPの名前は着ぐるみに関心のある人達が集まる場(Station)、2000年スタートということで、Doller’s Station 2000とする。

 しかし、自分の趣味の一環としてやっていくこととは言え、「人のために行う」的な要素もあって、これを続けていくことは、自分の生活にも大変な犠牲を強いるだろうということは容易に想像できました。そこで、昨年5月1日にこのHPを開設するに当たって、運営は1年限りにしようと思ってきました。そして、2001年の4/30を持って、潔くスパッと閉鎖しようと考えていました ですから、1年分の企画を最初に立てて、それを実行してきました。よく、更新されずにほったらかしのままのHPを見かけますが、1年限りのHPであるなら、なおさらそんな中途半端なことにはすまいと思ってきました。
 
 1年前、どんな企画を立てていたかというと、

期間  計画 結果 
 5−6月   ・碇シンジ制作 
 ・碇シンジ・葛城ミサトの近未来的シチュエーションでのペア撮影
 ・製作、計画通り成功(シンジ)
・7月に、暁の撮影会で成功
5−10月  李小狼着ぐるみ制作と、製作レポートの製作   10月、後楽園ハロウィンにギリギリ間に合い成功
 12−4月  木之本さくら着ぐるみの製作
  (李小狼で、経験値を積んでからトライ)
 ’01.4月に完成、成功
    野外での着ぐるみ撮影
(代表的な景観や季節感のある物をバックに)
・高原別荘(アスカ)
・富士山麓での撮影(小狼)
・桜の下での撮影(さくら)
  以上に成功。元旦風景はイマイチ・・・・、
 雪景色と紅葉は出来なかった
 (アスカスキーはDS2開始前の撮影です)
   初心者向けの用語解説作成   業界用語の基礎知識作成
   ドーラーと着ぐるみに関心のある人の交流の場提供  着ぐるみ出撃情報作成(途中でとりやめ)
   着ぐるみHP以外との交流   各所掲示板でのやりとりが続いていますが・・・・
 着ぐるみ絵を描いて下さるという方も現れていて、
ちょっとづつです。
 あと、韓国着ぐるみ界とちょこっと接触。
   最後にHPで着ぐるみキャラを動員したHP遊びを作って大団円  4月にHP上で着ぐるみキャラ達を使った迷路を造りました。


 結果、当初計画していた企画はほとんど実現することができ、DS2は自分では「上出来」なHPでした。
 なかでも、李小狼の製作レポートはこのHPの目玉であると共に、10月の後楽園ハロウィンフェスタに間に合わせなければいけない、しかも製作と同時進行で画像をお見せしていく、不細工な物を出すわけには行かないという、失敗の許されない大変な重圧を感じ続けた、もっとも想い出に残る企画となりました。出来上がった李小狼着ぐるみは多くの方からお褒めの言葉を戴き、また子供達にも大変喜んでいただき、2倍に作って良かったと思えるものとなりました。

 少し残念だったのが、私達のように、普段着ぐるみに接していない方達と広く交流を取っていきたいと思っていたのが、それほど進まなかったことです。着ぐるみを扱うHPは、いわゆる「濃い」ものが多いのですが、もうちょっと初心者(多少関心を抱いておられるような方)も入りやすいように、DS2は「薄め」にしています(^^;)。ですから、意図的に他の着ぐるみHPとの交流は少な目にしてます。相互リンクも少な目に留めています(それと着ぐるみサイトの情報はあちこちに「これでもかっ」てくらいリンク先乗せてるサイトがたくさんありますので、そちらにお任せしてます)。逆に非着ぐるみのHPに対してはエヴァンゲリオンやCCさくらをツテにして着ぐるみをPRしてきました。これに関心を持って、「私も着ぐるみやってみます」という方が現れてくれれば、もう言うことはなかったのですが、そこまでには至りませんでした(この文章書いた後には結構これらから流れてきた方達も居ました。長いことやってないとダメなんですね)。

 それと、多分にイレギュラー的でしたけど、韓国の着ぐるみ界の方と接触がありました。韓国の方では日本のコスプレに触発されてコスプレ人口も増えてきているのですが、その中に着ぐるみに眼を向け始めている人達がいて、韓国にも着ぐるみのHPが幾つか出来始めています。けれども、韓国では着ぐるみがまだ始まって間もないこともあり、ブツも少ないようです。で、ついつい、日本のHP画像を盗用して、私の李君画像も盗用されていたのでした。 私は基本的に使って戴くのは良かったのですが、一言断りはあっても良かったのではないかな?ということで先方の掲示板に書き込みをしました。
 もう日本の着ぐるみ画像をこれでもかってくらい盗用してるHPなので、無視するか屁理屈を並べ立ててくることも予想していたのですが、さにあらず。平謝りに謝ってきました。よくよくHPを見ると、そのHPの管理者はNETSさんという高校生の女の子のようで、私は英語で「断り無しに画像を使うのはマナー違反でしょ?」と注意するくらいだったのですが、先方は「全て私が悪いです、ごめんなさい。HPも閉鎖します」と言ってきたので返ってこちらのほうが慌ててしまいました(日本人に対して頭を下げてくるってこと自体も驚きでした。韓国の方の場合、日本人に対して抱いてる感情は強いですから)。
 せっかく隣の国にも同好の人達がいるのが分かったのだから、これを機にいろいろ交流も図れたらすばらしいなと思っていたのに、このままでは着ぐるみの芽をつぶしかねない。再度、私の乏しい英語力を総動員して、「あなたを攻撃してるわけじゃない、マナーは守るようにして欲しいだけでHPの閉鎖を求めてるわけじゃない。それさえできれば、お互い同好の人間ですから交流していきませんか」とメールを出して、やっと先方も意図するところを分かってくれたようです。
 まだ、韓国の着ぐるみは始まったばかりの手探り状態のようで、日本のHPの面の製作法を見ては「これは○○の粘土を使っているようだ」とか「離型材は××じゃないだろうか」なんてことを彼らの掲示板上で話をしながら、手探りで自作したりしてるみたいです。尋ねていただければ、喜んで着ぐるみのことをあれこれ話しをしたいのですが、NETSさんは私的に忙しくなったようで、しばし交流は中断してしまっています。NETSさんはCCさくらが好きらしいので、さくら着ぐるみも是非見て欲しいんですけどね・・・・

 さて、このDS2は1年間、上のような色々なことがあって、思い出深いものになりました。予定通り閉鎖するつもりで準備を進めてきていまして、折に触れてはこの4月で閉鎖することを周囲に漏らしてました。けれども、ありがたいことに惜しんで下さる方が大勢いらっしゃいました。また、記録としても貴重なものなので、閉鎖するくらいなら、うちに全て譲って貰えないかと申し出てくれた方もありました。
 そこで、DS2はこのまま残すことにして、もうしばらく続けていくことにします。
 ただし、計画していたものは、ほぼ全て吐き出した後なので、もう残りものはほとんどありません。私自身もさくら製作以降はしばらく着ぐるみ制作を休止して新しいスタートを切ろうと思っていますので、しばらくは更新する機会が減ると思います。それでも、掲示板は覗いたりはしていますので、また昔を懐かしんで来ていただけることもありましたら、ときおり掲示板に書き込みしていってください。また、今日より後に初めて来られた方も歓迎です。お聞きしたいこと等あればお答えしていくようにしますので、気軽に書き込んでいって下さい。
 それでは、今回はここまで。

風塵抄 その5 着ぐるみ自作
(’01.02.03)

 私は着ぐるみ以外に山登りを趣味にしています。
 山登りの何が楽しいかというと、日常の喧噪、煩わしさから解放されるところでしょうか。深い原始の森の香り、清冽な沢の水、可憐な高山植物、風のそよぎ、澄み切った空、まぶしい青紫色の空・・・・・こういったものを全身の五感に満喫することを何よりの楽しみにしています。
 だから、私の山登りは、体力の限界に挑むような体育系のクラブや修験者と違って、別に頂上に立たなくても良いのです。頂上に立つことは、自然の中を楽しみながら歩いていってたどりついただけの結果なのです(余談ですが、昔、月刊誌「山と渓谷」の編集者が解説(怪説?)した山の用語集によると頂上というのは「狭くてもっともつまらないところ」という定義だそうです)。

 勿論、山に登る目的は人様々です。私のように自然を感じに行く人もいれば、写真を撮りに行く人、絵を描きに行く人もいれば、岩登りや沢登りといった挑戦の対象にしている人もいれば、馴染みの山小屋で小屋のおやじと山中間と飲み明かすことを何よりの楽しみとしている人もいます。
 山は、人それぞれの思いを抱きながら、各々楽しめればそれでよいのだと思っています。山登りとはかくあるべきだと縛るのは独りよがりに過ぎません。

 ところが、しばしば山登りをする人達の中に声高に自身の主張をする人がいます。
 「ロープウエイを使うようなのは山登りじゃない」
 これくらいならまぁ黙っていますが、
 「岩登りをしなきゃ山登りじゃない」
 「登山道で登るなんて山登りじゃない。自分で道を探して登って行くもんだ」
とまで言い切り、それをしない人を蔑むような目で見る人もいます。
 岩登りも、ルートファインディングも、山に登るため、頂上を目指すための一手段に過ぎません。これをしなけりゃ山登りじゃないなどというのは本末転倒な話しです。

 しばし、自作と他作についての論議がされますが、私の着ぐるみは山登り同様でありたいと思っています。

 もっとも、山登りとは元々「極地探検」であったわけですから、岩登りやルートファインエィングも醍醐味の一つではあります。関心のある方、体力・時間に余裕のある方は大いにやっていただきたいと思っています(行動には責任を持ってね)。


風塵抄 その4 ドーラーのマナー

(’00.09.23)

 着ぐるみをする上で、ドーラー固有のマナーがあります。着ぐるみをする以上、見ている人にも楽しんで貰おうという、ちょっとした気遣いです。幾つか上げてみますと、

 1)着ぐるみのキャラになりきって、その行動パターンを演じきること
 2)人中でむやみにしゃべらない
 3)人中で面を外さない

 といったところがまず浮かびます。
 1についてはお判りかと思います。例えばシンジ君の着ぐるみをしているのに、格闘ゲームキャラの振る舞いをしていたのではイメージと異なってしまい、見ている人からは何だか分からないものになってしまいます。周囲から見ている人間にとっては、その外見から「碇シンジ」として捉えているわけですから、当然、碇シンジとしてのリアクションを期待しているわけです。その期待を裏切ってはいけないわけです。
 2、3については1と同様の理由から、キャラのイメージを外さないようにする目的もあります。が、同時に、着ぐるみをしている間は人形として取り扱って欲しいとの思いもあります。ドーラーの願望として、第1段階はとにかく着ぐるみをしたい、着てみたいというのがありますが、それが満たされると次の段階として、いかにそのキャラを演じきれるか、ということに目的が変わってきます。着ぐるみの中は当然人間が入っているわけですが、いかにそれを感じさせないようにするか、目の前にあるのは動く人形なんだよと思わせれるよう演じたくなるわけです。ですから、当然、そのためには着ぐるみの中に人間がいることを感じさせないよう、しゃべらない、面を外さないというのが必要になってくるわけです。

 もっとも、私などはまだ「演じきる」ところまで手が届いていないので、話しかけられたりすると、ついついしゃべってしまいがちではありますが。
 それと、このHP用の写真を撮ってもらいたくて、身近にいる仲間内に頼み込んだりして・・・・。この点についてはあまりみっともいいものではありませんし、マナー違反もいいとこです。(^^;)

 他にもう一つ大事なものがあります。それは小さな子供達から握手を求められたり、話しかけられたりしたときは、腰を下ろして、子供達の目線の高さに合わせて挨拶したり、握手してあげることです。後楽園のハロウィンフェスタや野外撮影会をしてりると、子供達が寄ってきます。子供達は目の前にある動く人形に無心に喜び、スキンシップをとりにきますが、演じる私達はずっと背が高く彼らを見下ろしてしまうことになります。自分より大きなものはちょっと怖いものです。そこで子供達に一体感と安心感を持たせて上げるために、私達は子供が求めてきたときは腰を下ろして彼らと同じ視野に立って上げています。すると、ちょっと怖くて近寄れなんでいた子供達も、すーっと駆け寄ってきて、はにかみながら握手を求めてきたり、嬉しそうにおしゃべりしてきます。そして、そんな子供達とスキンシップをとれることが、私達ドーラーの方もとても嬉しく感じるものなのです。この感動は実際に体験した人には身震いするほど感じられるものなのです。
 これは先輩のドーラーの方達から教えられ、守っている、ちょっとしたマナーです。でも、これがあるがために、着ぐるみを演じる方も、見る方も楽しい体験が出来る、とても大事なマナーといえるでしょう。ドーラーの多くがこのマナーはしっかり守っています。
 後楽園のハロウィンパーティーでは、他に多くのコスプレイヤーさんもいますが、子供達とスキンシップを取ろうという人は稀なように見受けられます。この辺、微妙ながらコスプレイヤーとドーラーの意識の違いが見え、考えるとあれこれ議論が出来ておもしろいですが、その辺の考察は読まれている皆さんにお任せします。

風塵抄 その3 ドーラーの多様性
(’00.09.04)

 最近はとみに着ぐるみをおおやけのイベントでする方が増えました。
 私もこの世界に飛び込んで、新しく多くの人達と出会うことが出来まして、いろんな方といろいろ着ぐるみについての話しをする機会があります。けれども、着ぐるみが好きだと言う点では共有するものを持っていながら、何故着ぐるみをするのか、好きになったのか?これについては人によって千差万別です。異性装の1形態としてされるかた、着ぐるみショーの演技が好きでされる方、アニメが好きでそのキャラになりきりたい人(いわゆるコスプレの1種として考える人)、いかに造形で本物の女性に近ずけられるかを目指す方等、様々です。

 多くの人がその分類を試みています。が、ここではその分類の仕方は述べません。

 ここで述べたいのは、今、実に多様な人々がそれぞれの思いで着ぐるみに参加してきているということです。私はこれが、着ぐるみというものがより一般的なパフォーマンスとして普遍性を帯びるきっかけになるのではないかと思っています。
 例えばサーフィンは元々ハワイの土着の遊びで、板きれに乗るだけの泥臭いものでした。しかし、サーフボードという、より様々な工夫を集め、多くの人が波に乗りやすい道具を生み出されることで普遍性を得ることになり、あっという間に世界中に広がりました。
 コスプレイベント等で見かける着ぐるみも、元々は異性装の方達の1形態として現れました。そのため、美少女キャラがメインです(例外もありますが、ここでは四捨五入して話しています)。しかし、最近では先に述べたようにいろんな考えを持って着ぐるみをする人達が増えており、異性装の1形態として着ぐるみをする人の比率は少なくなってきています。私や南霧さんのように男性のアニメキャラの着ぐるみをする者も現れてきています。以前から美少女着ぐるみをされている方から見れば、まるで違った世界になってきてしまったと当惑されているかも知れません。けれども、そんな多様性を許容してきたからこそ、今は各種イベント、あるいは町中で着ぐるみを見かける機会が増えてきました。’95年くらいまではコミケでも2〜3人しか見かけなかった着ぐるみも最近は時に20人近くは現れるようになってきました。これだけの数のドーラーの人達が各々着ぐるみを持ち寄ってきていることで、徐々に一般の人も着ぐるみする事への違和感が減っくるのではないでしょうか?そしてなにより、いろんな考えを持ち寄った集団が出来ている、と言うこと自体、そこから何か新しいモノが生み出されそうな気もします。
 まだ、いくつもの大きなハードルはありながらも、今、着ぐるみは大きくブレイクしようとしているときなのかも知れません。
 またこの世界にいる者としてそんな時が来て欲しいと夢見ています。
 (注) 最近はコミケでは着ぐるみするのが難しくなり、また後楽園は改装で狭くなってしまったため、イベントに着ぐるみが出る機会がめっきり減りました。着ぐるみする人は増えているんですけど、着ぐるみが大挙して集まる機会は無くなってきちゃってますね(’02.1記述)


風塵抄 その2 着ぐるみの師弟

 先に自己紹介(当初、自己紹介は風塵抄その1として上げていました)で述べましたが、私の着ぐるみは水野由美さんのHPに行き当たったところから始まります(今は水野優さんに改名されてます)。由美さんにメールを出したところから、メタ研のチャットルームに入るようになり、着ぐるみ仲間が大勢出来ましたし、はじめて着ぐるみさせてもらったのも由美さんでした。面の作り方も折に触れては教えてもらったり、お世話になりっぱなしです。そんなこともあって、由美さんのことをお師匠様と呼ばせていただいたりもしてます。

 某マンガの巻之十の表題に「御剣の師弟(みつるぎのしてい)」というのがありますけど、語呂合わせに「着ぐるみの師弟」というのも合ってるかなぁと思ったりして、1人悦に入ってます。
 さて、その由美さんですが、知る人ぞ知る元祖ドーラーのお一人で、新聞・雑誌にも載った方です。一番有名なところでは、エヴァ劇場版の封切り日前夜、新宿の映画館の徹夜列の前に現れた着ぐるみの綾波レイこそが由美さんです。由美さん宅でこのときのビデオを見せて貰いましたけど、すっごくおもしろそうでした。これを見て、私も一緒に着ぐるみやれたらどんなにかおもしろいだろうと思って、是が非でもやりたくなったわけです。’98年の頃のことです。コミックマーケット54ではその夢が実現して、私=アスカ、由美さん=レイでご一緒させてもらい、楽しい思いをさせてもらいました(アスカの部屋のコミクマーケット54のレポート参照)。
 由美さんの面はラテックス製ですが、昔はFRPで作っていました。私の面作りがFRPなのも、師匠の例に従って、まずはFRPから、次いでラテ面に行こうと思ったからです。ラテの方が難しいから先にFRPをやったんだろうなと想像したのですが、果たしてどんなところでしょうか。FRPの面の作り方なんてどこにも出ていないわけですから苦労しました。東急ハンズでFRPの硬化の仕方を聞いた以外は、手探り状態でしたが、折に触れて師匠にアレコレ聞きながらなんとか作っていったわけです。当時は私がみちのくに住んでいたこともあって、そうおいそれとは教えを請いに来るわけにも行かず、制作中のブツを見て講評して貰うわけにも行きませんでしたが、上京したときに尋ねた制作に関するノウハウが随分手助けになっています。
 また、由美さんは多趣味な方で、カラオケや最近はボーリングに熱を入れていますけど、昔はチェスのレイティングで日本一になったこともあるそうです。まさに「真の天才とはなんでもこなせてしまうものさ」とうそぶく某マンガの師匠に似ていなくもない(^^;)最近着ぐるみから少し身を引いているところも、なんとなく某マンガの師匠を彷彿させます(^^;)
 ただ最近、着ぐるみの活動はあまりせず、イベントにも出てきていないのは私的には残念なとこです。もっと一緒に遊びましょうよ〜ゴロゴロ。メノコマキリさん共々お待ちしてますから。

(風塵抄その1は原稿紛失)